そもそも趣味とは、「どうしてもそれをやりたい!」とスタートしたり、何となくやっていく間にのめりこんでしまったりするもので、理詰めで考えるものではないかもしれません。

しかし、自分が知らないだけで、世の中にはお金のかからない楽しみ方もたくさんあるような気がします。次の休みは何をしようかと考えて、何か新しいことをやってみたいと思うのであれば、お金のかからない楽しみにチャレンジしてみませんか。それが本当の趣味になる可能性はあります。

印象に残った、お金のかからないレジャースタイル

かなり古い話なので、何で読んだか忘れてしまいましたが、外国人のお金を使わない遊び方の記事が非常に印象に残ったのを覚えています。日本在住の外国人のグループが東京の奥多摩で水遊びをしている写真が添えられていました、岩場から豪快に川の深みに飛び込んで遊んでいる写真です。写真を見るかぎり、こんなに野性的に遊べるところが東京の中心から遠くないところにあるというのも驚きでしたが、外国人たちの「こんなすばらしい場所があるのになぜ日本人はここを楽しまないのか」というコメントも考えさせられました。

他にもお金を使わずに自然と触れ合えるスポットがたくさんあるのに、遊んでいるのはいつも自分たち外国人だけで、日本人は全くいなかったそうです。日本人は用意された施設がないと遊べないようだというのが記事の概要でした。なるほどと思わざるを得ません。

最近は中高年世代の車中泊で旅を楽しむスタイルがじわじわと浸透しているそうです。実は私もこれに憧れています。車はだいぶ前に手放してしまったので、持っていれば実現できたのにとちょっと残念です。

そのような旅行スタイルをつづっているブログもあり、各地にある道の駅で食事やトイレを利用できますし、その地の産物にも触れられます。夜になると道の駅の駐車場にはそのような車中泊の車が並ぶそうです。許可された場所が近くにあるなら道の駅で購入した食材で自炊、ガソリン代程度だけで済ますこともできます。旅行誌の割引サービスなどを活用しながら、温泉地で日帰り入浴を楽しむ様子は、お金はそれほど使っていませんが、なんとも贅沢な時間のように思えます。

非日常を日常から見つけてみよう

人はなぜ趣味を持ちたがるのでしょうか。趣味を持つということは、どのようなことを意味するのでしょうか。心から仕事を楽しんで「仕事が趣味」と言える幸せな方は、そうそういないでしょう。ある意味で趣味は仕事では得られない自分らしい一面を取り戻す場であったりします。つまり「日常」とは対極にある「非日常」を体験してバランスをとっているのではないでしょうか。

今特にのめりこむ趣味がない方は、日常の中の何かを非日常へと工夫してみてはどうでしょうか。例えば食事であれば、休みのときにお弁当を作って、サイクリングなどはどうでしょうか。テラスやベランダで食事でも良いですし、外で食べておいしいお弁当を工夫している間に、サイクリングや料理に興味を持つかも知れません。非日常は意外に近いところにあるもので、何もお金を掛けて楽しむものばかりではありません。

私は最近料理をいろいろ考えるのが楽しみです。もともと料理は嫌いではありませんでしたが、毎日食事を作らなければならないとなるとやはり面倒だと思っていたので、自分でも意外でした。

きっかけは喘息を罹患したために、大好きな居酒屋などの空気の悪い場所に出入りできなくなったために、自宅で飲み会を開くようになったためです。料理は私が担当し、お酒は各自飲みたいものを飲みたいだけの持ち寄りです。ワインを持ってくる仲間に対してはワインに合う料理を考えなければなりません。いざ作る時は大変ですが、仲間の顔を思い浮かべながら好きそうなものを考えている最中はワクワクします。単に自分が飲みたいだけのような気もしますが、喘息に過度のお酒は悪いのでたくさんは飲めなくても、今の私の楽しみの一つです。

スキルアップのための習い事は必要か

家元制度に組み込まれた華道や茶道で、いずれ自分も流派の指導者の資格を取り、弟子を教えたければ月謝や位の取得費は払い続けなければならないでしょうが、美しく花を生けたいだけであれば自分だけの研鑽でも不可能ではないでしょう。周りを引き込むほどの腕前になれば、流派に属して無くても教えてほしいという弟子は現れるでしょう。今あるさまざまな趣味の分野の先駆者は、全て自分で試行錯誤して、その分野を確立してきたはずです。

先生の門を叩く前にまずは花を生けてみることからスタートしてみませんか? 道端の花を摘んでコップに挿してみただけでも周りの雰囲気は変わるでしょう。捨てようと思った麦藁帽子を再利用してコップカバーを作れば、オリジナル花器ができます。

ものづくりは教える立場にもなれる~

趣味の何が高いかというと、使う道具や材料の費用、習い事の月謝や施設の使用料などです。道具を使わないもの、習い事の不要なもの、材料等の必要のないものなどを考えて、それらの中で自分が楽しめそうなものを探してみるのも悪くありません。

私の祖母は不要になった古着や端切れなどの柄を利用してアップリケを作っていました。下記の写真は大きな額の一部ですが、材料は端切れとのりとはさみと糸、台紙程度です。柄は全てもとの布地のもので、色を加えているものではありません。古着の汚れの部分も柄に利用できるそうです。額装したかったら、自分で額を作りましょう。

これからは先々不透明と感じるのであれば、今の仕事を精いっぱい頑張るとともに、リフレッシュのための趣味を生かして続ければ、いつか教える立場になれるかもしれません。作品ができるものは比較的教える立場になりやすいですが、キャンプの達人になり、リタイア後はワークショップを開いたり、サバイバル生活を教えたりと、考えればいろいろありそうです。しかしそれは結果であって、自分が楽しいものを長く続けられそうなものの中からお金のかからないものを探してみましょう。

<著者プロフィール>

佐藤 章子

一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス。

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