東武鉄道は21日、蒸気機関車(SL)復活運転の車両・施設計画概要について発表した。全国の鉄道会社から車両・施設を譲り受け、SLの各種検査を行う検修庫の新設、SL発着の拠点となる下今市駅の駅舎改修も行い、2017年夏の運行開始をめざす。
同社は約50年ぶりとなるSL復活運転へ各種準備を進めている。JR北海道から蒸気機関車C11形207号機を借り受ける予定で、JR北海道・秩父鉄道・大井川鐵道の協力を得てSL検修員・SL乗務員(機関士・機関助士)の養成も開始された。運転予定区間は東武鬼怒川線下今市~鬼怒川温泉間(12.4km)とされている。
今回の発表で、SL復活運転は車掌車1両・客車3両の前後に蒸気機関車(SL)・ディーゼル機関車(DL)を連結する編成となることが明らかにされた。車掌車はJR貨物・JR西日本から1両ずつ(JR貨物はヨ8634、JR西日本はヨ8709)、客車はJR四国から6両(スハフ14-1・スハフ14-5・オハフ15-1・オハ14-1・オロ12-5・オロ12-10)、ディーゼル機関車はJR東日本から1両(DE10-1099)譲渡される計画で、車両の受入れは今年6~12月頃に進められる。
方向転換を行う転車台はJR西日本から譲渡される。長門市駅・三次駅で国鉄時代から使用された転車台を移設し、下今市駅に長門市駅転車台、鬼怒川温泉駅に三次駅転車台を設置する。転車台の受入れは今年10月頃を予定している。
検修庫は南栗橋車両管区に新設。今年8月頃にJR北海道からSLを受け入れた後、南栗橋検修庫で整備・検修を行い、南栗橋車両管区内で訓練運転などを実施する予定。SL発着の拠点となる下今市駅は、かつてSLが走っていた時代をほうふつとさせる"昭和レトロ感"のある駅舎に改修され、SLを間近で見られるエリアも駅構内に整備される。
なお、SL検修員・SL乗務員の養成に関して、JR北海道・秩父鉄道・大井川鐵道の3社に真岡鐵道を加えた全4社の協力で教育訓練を進めていくことも発表された。今後のスケジュールに関して、年内に車両・施設を受け入れた後、2017年4月頃から東武鬼怒川線での試運転を開始、2017年夏をめどに営業運転を開始し、土休日を中心に年間最大140日程度の運行を予定しているとのこと。