東芝ライフスタイルは4月19日、4K対応の液晶テレビ「REGZA Z700X」シリーズ3機種と、スタンダードモデル「REGZA M500X」シリーズ4機種を発表。都内で説明会を開催し、新モデルにかける意気込みをアピールした。
既報の通り、東芝の白物家電事業は中国の美的集団へと売却される予定だが、東芝が19.9%を出資する東芝ライフスタイルへと移す(残す)形を取る。一方、国内BtoCビジネス、BtoBビジネス、海外ロイヤリティビジネスを担う映像事業は、東芝が100%出資する映像新会社に移管し、従来からの開発体制を引き継ぐという。
2016年上期からの新体制についても説明。白物家電分野を事実上売却したが、REGZAを中心とする国内BtoC映像分野とBtoBビジネス分野は、引き続き東芝の新会社が運営する |
東芝ライフスタイル 取締役 ビジュアルソリューション事業本部 VS第一事業部 事業部長の池田俊宏氏(左)と、取締役副社長 ビジュアルソリューション事業本部 事業本部長の村沢圧司氏(右) |
東芝ライフスタイルの村沢圧司取締役副社長は、「2006年にREGZAブランドを立ち上げ、今年で10周年を迎えた。この10年間、我々が変わらず思い続けてきたのは、卓越感、高質感、本質感というブランドコンセプトのもと、映像による感動の最大化を追求すること。圧倒的な高画質と視聴スタイルの革新を追求し、"本物のテレビ"を作り続ける」と、REGZAにかける熱い思いを語った。
今後の国内市場と需要予測についても触れる。アナログ停波とエコポイントによって2009~2011年のテレビ市場は特需が発生したが、翌年の2012年からは反動減に悩まされ続けてきた。2016年は当時テレビを購入した層の買い替えサイクルに入るため、「緩やかではあるが需要は回復していく」と見る。
国内テレビ市場は、地デジへの移行とエコポイントによる特需に湧いた2009~2011年以来の買い替えサイクルに突入しつつある |
49V型以上の大画面テレビは、2016年度に台数構成比で85%、金額構成比で95%が4Kモデルになると予測 |
4Kテレビのニーズが高まる中、ハードウェアとソフトウェアの両面で、東芝は自社の優位性を整理して新製品を開発した。その中核をなす技術が、8K時代までを見据えて開発した高画質画像処理エンジン「レグザエンジンHDR PRO」であり、多様化する映像コンテンツを楽しむためのタイムシフトマシンや、「まるごとチャンネル」「みるコレ」などの機能だ。また、「ひかりTV 4K」や「Netflix」といった動画配信サービスにも対応する。
ここで、「ひかりTV 4K」を提供するNTTぷららの板東浩二代表取締役社長が登壇。自社サービスに対して真っ先に理解を示してくれたのが東芝であり、特に強固なパートナー関係にあるとアピール。「今後もオリジナルコンテンツの提供などで密な関係を築いていきたい」と述べた。
Netflix日本法人代表のグレッグ・ピーターズ社長も続いて登壇。Netflixは動画配信サービスだけでなく、オリジナル動画の制作にも注力しており、オリジナルコンテンツの制作フタッフとして、「華麗なるギャツビー」のバズ・ラーマン監督や「リトル・ダンサー」のスティーブン・ダルドリー監督など、映画ファンを魅了する錚々たる顔ぶれが集まっていると強調した。また、芥川賞受賞作である又吉直樹「火花」の実写版は、日本独自制作のコンテンツとして初めて4K/HDRに対応。6月3日から全世界190カ国以上で同時配信すると発表した。
そして、満を持して「Z700X」シリーズと「M500X」シリーズを紹介。特にZ700Xシリーズは、LGエレクトロニクスと共同開発した広視野角のIPSパネルや、直下型配置のLEDバックライトを採用。HDRにも対応するほか、タイムシフトマシンを搭載するなど東芝ならではのこだわりも詰まっている。
スタンダードモデルのM500Xシリーズでは、スピーカーを前面下部に配置した新しいサウンドシステムを搭載し、液晶には漆黒の黒を再現できるVAパネルを採用した。
会場には新製品の実機が展示されていたが、その中で目を引いたのは、M500Xシリーズのホワイトモデルだ。40V型のみのラインナップではあるが、インテリアが白基調の部屋に映えるデザインに仕上がっている。
最後に、会場の片隅にさりげなく展示されていた、8Kモデルにも触れておこう。4Kモデルに搭載されている「レグザエンジンHDR PRO」を4基搭載することで、高画質で滑らかな映像を映し出していた。説明員によると、100V型程度のパネルを採用しており、価格や発売時期、詳しい仕様などは未定とのこと。「次の世代のテレビもしっかり開発しているので安心してほしい」との思いが感じられる展示だった。