MVNO(仮想移動体通信事業者)の台頭は誰もが疑う余地のない事象だ。MM総研の調査では321万件、スマートフォン契約数の4.4%にまで成長し、今後もさらなる成長で10%程度がMVNO契約になるのではないかとの調査もある。
では、そうした時代にNTTドコモなどのMNO(移動体通信事業者)の役割はどうあるべきなのか。そこに対する答えとしてKDDIが積極的に推進しているのが「サポート」だ。
ドコモは企業間コラボ、ソフトバンクはIoT
auスマートサポートは2013年6月に開始したスマートフォンに関する有償のサポートサービスで、利用料金は、加入月に3000円、4カ月目以降は月額380円となっている。スマートフォンの利用でわからないことがあった場合に、KDDI内部の専用サポートチームがさまざまなサポートをしてくれる。使い勝手がわからない場合の電話でサポートが行われるだけでなく、購入前の「訪問契約」「お試しレンタル」から、「訪問サポート」「データ復旧サービス」まで、そのサポート体制は多岐にわたる。
一般的に、MNOとMVNOの大きな違いとして、全国に展開するキャリアショップなどの「サポート体制」が指摘されている。携帯料金には、インフラ事業者としてのネットワーク設備の設営・運営費などに加え、このサポート体制の運営費が加わり(それ以外も当然存在するが)、構成されている。
もちろん、こうしたサポートを必要としない高いITリテラシーを持つユーザーには「不要なコストをかけたくない」として、MVNOの選択の余地もあるが、スマートフォンに慣れていないユーザーや、フィーチャーフォンを持つ人たちにとっては、いざという時にすぐに話を聞ける存在が必要であり、まだまだMNOに頼るべき部分も多々存在する。
NTTドコモは、現在のMNOを取り巻く環境を踏まえ「+d」として、他業種・他業態とのコラボレーションを積極的に行い、ソフトバンクは「IoT」をキーワードに、法人ソリューションとの一体営業やIoTコンシューマ製品とのマルチ展開を推進しているが、KDDIは「サポート」に重きを置いている。
健康診断をスマホで手軽に
KDDIが提供しているサポートの中でも特に人気を博しているのが「スマートフォン講座イベント」だ。このイベントには、わかりにくいスマートフォンの使い方を、日常のさまざまなイベントとひも付けて体感することで「スマートフォンは楽しく使えるもの」と感じてもらおうという意図が込められている。
3月に行われたイベントでは、auスマートサポートとは異なるが、au長期利用者向けに「感謝イベント」として皇居ランとデジタル健康診断の体感デモンストレーションを行った。皇居ランは、KDDIと毎日新聞が皇居横で提供するランナーズスペース「Run Pit」を活用。ランニングで健康管理系のスマートフォンアプリを利用してアクティビティ管理の楽しさ・重要性などを伝えつつ、昨今提供されているさまざまなデジタルデバイスを活用した健康管理サービスの体感イベントもあわせて行った。
このイベントで健康管理サービスの1つとして紹介されていたのが「スマホ de ドック」だ。これはKDDIが提供する血液検査セットで、一般的な健康診断と同等の検査結果をわずかな血液採取によって判断できる。スマートフォンから申し込め、価格も4980円(税別)と、あまり負担にならない。