写真家・篠山紀信氏が、俳優・渡辺謙主演の映画『怒り』(9月17日公開)のポスターを撮り下ろしたことが、このほど明らかになった。メインキャスト7人を写したビジュアルが、公開された。

映画『怒り』ポスタービジュアル

本作では、『悪人』(10年)の原作・吉田修一氏と監督・李相日氏が再タッグ。吉田氏の同名小説を原作として、SNSやスマートフォンなどの発達により、簡単に他人を疑ってしまう不信の時代に「"信じる"とは?」という根源的な問いを、一つの殺人事件をきっかけに投げかける。千葉の漁村で娘と暮らすしがない父親を演じる渡辺のほか、森山未來、松山ケンイチ、綾野剛、広瀬すず、宮崎あおい、妻夫木聡といった豪華俳優陣が出演する。

本作の公開は「一つの事件になる」と踏んだプロデューサー・川村元気氏の発案によって、今回の撮影が実現。「7人を、日本が世界に誇る天才・篠山紀信が撮影することによって、新たな化学反応が生まれる」と考えた川村氏は、「"俳優7人"ではなく"登場人物7人"を撮ってほしい。俳優ではなく役のままの顔が見たい」と依頼し、篠山氏はすぐに快諾した。

俳優の中から「役」がいなくなる前にシャッターを切るため、早朝や深夜、本編終了直後に都内スタジオでポスター撮影を敢行。その結果、篠山氏だけでなく、被写体となる俳優陣やスタッフまでも「こんな顔、見たことがない」と口をそろえる写真が出来上がった。

三島由紀夫やジョン・レノン&オノ・ヨーコのほか、山口百恵、宮沢りえなど"時代の顔"とも呼べる人物の一瞬を切り取ってきた篠山氏のキャリアの中で、初となった今回のコラボレーション。自身にとっても刺激的な撮影だった様子で、「渾身の紀信!」と自らを評したという。

シャッターを切った篠山紀信氏

篠山氏は、「役を引きずったままの役者をスタジオで撮影をするのは初めての経験」と感慨深げ。「スタジオで撮影しているのに、どこかドキュメンタリーのようで、今まで何度も撮影している役者の見たことのない顔を撮影できた」「これだけの役者が集まってくると、不思議な力が湧いてくるポスターになった」と自信を見せ、「面白く、ぜいたくな時間でした」と告げた。

主演の渡辺は、「ファインダーをのぞく紀信さんが『見た事無い顔だなぁ』と。うれしい言葉を頂いた!」と歓喜。川村プロデューサーは、「俳優たちも、篠山さんなら、ということで撮影中にスタジオまで来て、役のままで撮影に応じてくれました」と背景を明かし、「果たして、見事な『7人の怒り』がそこに写し出されたと思っています」と胸を張っている。

(C)2016「怒り」製作委員会