マイナビは4月14日、「2017年卒マイナビ企業新卒採用予定調査」を発表した。調査は2月8日~3月7日、新卒採用実績のある国内企業8,000社を対象に回答用紙の郵送やメールマガジンで行われ、2,240社の有効回答を集めた。
採用予定数は、全体平均で19.1%の増加
2017年卒の採用予定数は「大学(文系)」で26.0%(前年比2.3pt増)、「大学(理系)」で31.4%(前年比2.3pt増)となり、大学卒の文理ともに、「増やす」という回答が「減らす」を20pt以上上回った。
経年で見た場合も、大学卒の文理ともに、2012年卒以来6年連続で採用を「増やす」企業の割合が「減らす」企業の割合を上回っている。従業員規模別では、「100人未満」の企業が32.4%で最も高い割合となり、規模が小さい企業ほど採用意欲が高いという結果となった。
大学卒(院卒含む)の2017年卒採用予定数を2016年卒採用実績数と比較すると、全体平均で19.1%増加しており、特に「非上場企業」では20.3%の増加と、前年の増加割合を上回り、採用増の勢いが加速している。
業種別では、「小売」が39.4%と4割近い大幅な採用数の増加を目指すほか、「サービス・インフラ」の22.7%、「ソフトウエア・通信」の18.4%なども高い目標となっている。前年に予定した1.5%の増加を大きく超える採用実績(11.9%増加)となった「金融」もさらに13.1%の増加を目指している。
採用予定数決定の「大きな要因となったもの」については、前年同様に「将来の経営業績の見通し」が45.2%(前年比8.8pt減)、「従業員の年齢構成」が44.9%(前年比5.6pt減)となったほか、今年から選択肢に加えた「前年の採用実績」も36.5%と高い割合だった。
採用環境「厳しくなる」は文系56.1%、理系63.6%
採用環境の見通しについては、「厳しくなる」(「非常に」を含む)が文系で56.1%(前年比19.1pt減)、理系で63.6%(前年比18.0pt減)となり、厳しくなるという見通しが大半だった前年よりもさらに、厳しくなると考える企業が多い結果となった。
採用環境の見通し |
厳しくなる理由を聞いたところ、「母集団(エントリー数)の不足」が67.2%(前年比3.1pt増)と最も高く、次いで「内定辞退の増加」の59.5%(前年比7.4pt減)、「活動早期化へのスケジュール対応」の47.2%(前年比2.3pt減)となった。
全体的に前倒しのスケジュール、面接開始のピークは4月~6月
「エントリー受付開始」は、「3月上旬」が82.0%と集中。続く採用フローは、採用環境の厳しさを反映して、全体的にスケジュールを前倒しする企業が多いことが特徴的だ。
「採用に直結するセミナー開始」は、「3月」が68.7%(前年比9.6pt増)、「OB・OG・リクルーターによる面談開始」は、「3月」が40.1%(前年比2.3pt増)、「エントリーシート受付開始」も、「3月」が65.6%(前年比11.1pt増)と、それぞれ3月がピークとなり集中度が増している。
「エントリーシートの結果通知開始」のピークは「4月」の34.9%(前年比5.7pt増)だが、「3月」も33.6%(前年比6.7pt増)となり、前年より受付開始から結果通知までの期間が短くなっている。
また、「5月以前」に「面接開始」する企業は72.6%(前年比13.1pt増)で、ピーク月は「4月」の33.9%(前年比6.9pt増)となった。「内々定出し開始」を「5月以前」に開始する企業は50.7%(前年比10.0pt増)で、ピーク月は「6月」の33.4%(前年比16.2pt増)となっており、6月までに8割を超える企業が内々定を出し始める様相となっている。
採用活動期間は、「短期化する」が29.5%(前年比5.0pt増)で、「長期化する」の16.3%(前年比24.1pt減)を上回った。採用活動の終了時期は6月から12月の間で分散しており、6月・7月の早期に終了すると回答した企業はやや増えたが、10月以降については前年とあまり変化はなかった。
学生へのアピールポイントは「企業経営が安定」など
学生にアピールしたいと考えるポイントについて、重要度の高いものから3つ以内で選択してもらった。最も回答が多かったのは「企業経営が安定している」の38.1%で、「社員の人間関係の良さ」の35.2%、「社員が成長できる環境がある」の32.9%と続いた。
2017年卒の就職活動生に聞いた企業を選ぶ際のポイント(「2017年卒マイナビ学生就職モニター調査 3月の活動状況」より)と比べると「社員の人間関係が良い(36.7%)」「企業経営が安定している(29.4%)」「自分が成長できる環境がある(29.4%)」が、それぞれ高い割合となり、企業のPRポイントと合致している。
一方で、企業は特にアピールしていないが、学生が企業を選ぶ時のポイントとして「福利厚生が充実している」「勤務希望地が選べる・立地が良い」「給与や賞与の高さ」の3つに、企業と学生の間でギャップが生じていることがわかった。
「どれも待遇面となるため、企業によってはアピールが難しいが、希望勤務地のPRを工夫することで学生に選ばれる可能性が高いこともこの結果からうかがえる」と調査では分析している。