新鮮な魚介類がおいしい全国屈指の都市・福岡。目の前に広がる玄界灘の幸を中心に九州近海の豊富な魚介が集まる福岡には、寿司の名店も多い。中でも鮮度抜群の極上寿司を"屋台感覚"の価格と雰囲気で楽しめる穴場店が、JR博多駅隣、博多阪急の地下にある「寿司 藤けん鮮魚店」だ。コンセプトは"お寿司屋さんの価格破壊"。早速紹介しよう。

「寿司 藤けん鮮魚店」の店長、森内弘章さん。「さっきまで水槽で泳いでいた魚が届きます。カンパチ、シマアジ、スズキ、しめサバなど、福岡ならではの寿司を食べてください」

福岡で有名な鮮魚店直営だから安い! うまい!

博多阪急地下1階、フードコート「阪急うまか食堂」にひっそりと店を構える「寿司 藤けん鮮魚店」。福岡の地魚にこだわる創業約半世紀の鮮魚店「藤けん」の直営店で、現在鮮魚店はもちろん、繁華街・中洲や大名で活魚をメインにした居酒屋も展開する実力店だ。そのためネタには圧倒的な自信を持っていて、しかも1貫87円からと安い。福岡自慢の青魚・イワシが87円、地たこが87円、まぐろ中おちが87円と、メジャーな回転寿司店並みの驚き価格だ。

博多阪急地下1階のフードコート「阪急うまか食堂」にある。お昼は平均1,300円、夜は平均1,800円の予算でOK! 週1で通いたくなる値段とおいしさ

「魚屋の価格で、ちゃんとしたネタ、鮮度抜群のネタを、お寿司屋さんと同じスタイルで味わえる店です」と店長の森内弘章さん。毎朝長浜鮮魚市場より仕入れた旬の鮮魚を、注文と同時に握ってくれる。

目の前に置かれた1貫は、つややかで美しく、歯ごたえはプリプリというより、予想以上に身が締まっていてゴリゴリ! 後からしっかりとしたネタの香りとうま味が口中に広がる。「100円以下でこんなにおいしすぎる寿司を食べられるなんて! 」と、感動すること間違いなしだ。

屋台感覚でふらりとカウンターに座り本格握りに舌鼓

平日10時~14時30分のみ提供される「お昼の特別セット(1,383円)」は、お得度満点! 取材中も多くのおひとりさまが満喫していた

同店はカウンターのみの小さな店構え。まるで屋台に入るような感覚でふらりと席に座ると、目の前のネタケースには、本マグロやイクラといった王道が並んでいた。さらに博多ではおなじみの玄界灘の幸、タイやシマアジ、カンパチ、そして九州近海の珍しい鮮魚もずらり。旬の地魚を中心に常時30~40種類をそろえ、1貫100円以下のネタも多くある。これから旬を迎える福岡や鹿児島、佐賀県・唐津産の地ウニは322円。本マグロの大トロも322円とお手頃だ。ついついたくさん食べてしまっても、会計時には「えっ!? 」と驚く価格におさまってしまう。

さらにオススメなのは、平日10時~14時30分限定で提供している「お昼の特別セット」。その日イチオシのネタ9種類に茶わん蒸しとお吸い物が付いて1,383円となっている。時にはトロが入ることだってある、その日しか食べられないネタの競演。何度行っても飽きない、期待以上の特別セットだ。

最も人気が高いのは本マグロ! 大トロ322円、中トロ268円、赤身106円。注文と同時に握ってくれる

好みにあわせた3種類のしょうゆを用意

カウンターには、福岡の一般的なしょうゆ「九州しょうゆ」、九州しょうゆよりもさらに甘口の「九州しょうゆ甘口・極」、そして辛口の「関東しょうゆ」と3種類を用意。「博多駅近くのデパ地下という場所柄、さまざまなお客さまが来店されます。鹿児島や宮崎から来たお客さまからは、『福岡のしょうゆより、もっと甘口のものはない? 』と言われることも多く、3種類を置いています」と森内さん。

九州しょうゆはすべて、「藤けん鮮魚店」の御膝元・福岡市東区香椎の老舗・綾杉醤油のものを使用している。さらに、バッテラ昆布の煮汁をかけたオリジナルの茶わん蒸しや、旬の素材で作る小鉢も魅力だ。

しょうゆは常時3種類をそろえる。福岡の一般的な醤油よりもさらに甘い「九州しょうゆ甘口・極」は、とろみがある濃厚なたまりじょうゆを使用

オリジナルの茶碗蒸し。芳醇(ほうじゅん)なだしの香り、トロリと甘い口当たりに、ほっと心が和む

「東京から出張で来られた方に、『東京にもお店を出して! 』と言われます」と森内さん。1人客の利用が多いというが、博多駅かいわいで働く常連客から、博多阪急に買い物に来る女性、出張や観光で市外から訪れた人、さらには外国人まで幅広い人気を誇っている。豚骨ラーメンやもつ鍋など、福岡名物を食べ過ぎておなかがいっぱいだったとしても、博多駅を訪れた際は必ず立ち寄ってほしい。敷居は低いが高ポイントな寿司店だ。

長浜鮮魚市場の売参権を持っているのは老舗鮮魚店ならでは。ネタの品質を物語っている

※記事中の情報・価格は2016年3月取材のもの。価格は税込