ダイハツ工業は12日、小型乗用車「ブーン」をフルモデルチェンジして発売すると発表した。軽自動車で培った技術やユーザーニーズに合わせた商品提案を小型車でも展開し、基本性能が向上。ガソリンエンジン登録車ナンバー1という低燃費も実現した。
新型「ブーン」は、ダイハツが開発し、「ミラ・イース」などに採用した「e:Sテクノロジー」を取り入れて開発された。ガソリンエンジン登録車で最も優れた燃費性能や使いやすいパッケージング、取り回しの良さ、低価格などを高いレベルで達成し、従来モデルから大幅な進化を果たした。同車はトヨタからも「パッソ」として発売される。
最大の特徴となる低燃費は、1.0リットル直列3気筒の1KR-FEエンジンとCVTの組み合わせによって達成された。このエンジンは吸気ポートをデュアル化して高タンブル化し、かつ吸気効率も向上。インジェクターもデュアル化することで、噴射口を燃焼室に近づけ、燃焼効率を改善した。ピストン形状の最適化などにより、圧縮比も従来の11.5から12.5へと向上させている。
燃費性能は2WDモデルにおいてガソリンエンジン登録車で最も優れた28.0km/リットルを達成。4WDモデルも9km/h以下から停車前にエンジンを停止させるエコアイドルを採用することで24.4km/リットルを達成した。全車がエコカー減税対象車となる。
低価格を実現するため、軽自動車で培った部品軸での低コスト化活動や買い方見直しを継続。「デザインや作り方の工夫でもっと安く作ることはできないか」といった視点から、部材配置、形状、材料選定を徹底的に見直し、素質の良い図面を追求することで部品点数の削減や軽量化による原価低減を追求し、低価格化を推し進めた。
扱いやすさとゆとりある室内空間の両立にも注力し、ホイールベースの拡大やリヤシートの後方配置などにより、前後乗員間距離を75mm延長してクラストップの940mmとした。ホイールベースを拡大しながらトレッドも拡大し、切れ角を最適化することで、従来よりも小回りのきく最小回転半径4.6mを実現している。
ボディはプラットフォームを1から見直し、大幅に改良を施して剛性を向上させた。JNCAP最高ランクの5つ星相当の衝突安全性も実現している。ボディの振動が抑制されたことで快適性も向上し、ラジエーターファンをはじめとする騒音発生源を改良するなどの対策と合わせ、静寂性も高めた。
装備面では、衝突回避支援システム「スマートアシスト II」を標準装備。カメラとレーザーレーダー、ソナーセンサーを組み合わせ、前方車両との衝突の危険が高まった場合に緊急ブレーキによる危険回避を支援する。坂道発進時に後退を抑制するヒルホールドシステム、シートベルトの締め忘れを警告するシートベルトリマインダーも採用した。
モデル展開は「ブーン」に加え、より上質なデザインとした「ブーン シルク」も設定。装備の違いなどによる計8グレードを展開し、全グレードに2WD・4WDを用意する。価格は最も低価格な「ブーン X 2WD」が115万円、装備が充実した「ブーン X Gパッケージ・SA II 2WD」が144万7,200円、最上級の「ブーン シルク Gパッケージ・SA II 2WD」が165万7,800円など(価格はすべて税込)。