フォーブス誌は4月7日、2016年版の「日本長者番付」を発表した。

2位は孫氏、3位は佐治氏で上位3人の順位は変わらず

1位はアパレル大手のファーストリテイリングの代表取締役会長兼社長の柳井正氏。資産額は前年比約6,690億円減の約1兆8,419億円(163億ドル)となるも、2年連続で首位をキープした。

傘下の衣料チェーン「ユニクロ」を展開する同社は、暖冬の影響を理由に今期の業績予想を下方修正した。フォーブス誌によると「どんなときでも楽観的なことで知られる柳井氏は、2020年までに自社を衣料小売業界の世界最大手にすると述べている」としている。

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前年に引き続き2位となったのは、ソフトバンクグループの代表取締役社長の孫正義氏で、資産額は約1兆6,837億円(149億ドル)。約1兆6541億円の前年より約296億円増加した。

孫氏が創業したソフトバンクは2013年、米携帯大手スプリントを220億ドルで買収。その後も再建を進めている。フォーブス誌によると「(買収は)これまでのところ大きな成果は上がっていない。同社が最近手掛けた事業のうち最大の利益を上げているのは、中国の電子商取引大手、アリババ(阿里巴巴)株32%の取得だ」としている。

3位は、サントリーホールディングスの代表取締役会長である佐治信忠氏とその近親者。資産額は前年より約250億円多い約1兆3,221億円(117億ドル)となった。

サントリーは2014年、バーボン・ウイスキーの「ジムビーム」と「メーカーズマーク」で知られる米ビームを160億ドルで買収。佐治氏は同年に社長職を退き会長に就任。後任には、同社の創業以来初めて親族以外が就任した。最高執行責任者(COO)兼副社長には、佐治氏のおいで創業者のひ孫に当たる鳥井信宏氏が就いている。

4位は滝崎武光氏(キーエンス/9,379億円)、5位は三木谷浩史氏(楽天/6,441億円)、6位は森章氏(森トラスト/5,424億円)、7位は高原慶一朗氏(ユニ・チャーム/4,746億円)、8位は毒島邦雄氏(三共/4,633億円)、9位は韓昌祐氏(マルハン/4,520億円)、10位は伊藤雅俊氏(味の素/4,407億円)

名前が挙がった資産家のおよそ半数は、ここ1年で保有資産を増やしている。円高に加え、外国企業の買収や海外事業の拡大によって、外国人消費者を取り込むことに成功したことがその大きな要因だという。

ランキングは各氏から入手した情報に加え、上場企業基本データ、証券取引所やアナリストら、データベースから得た情報、政府機関の公開情報を基に作成。また、世界長者番付とは異なり、近親者の保有資産も含めている。資産額は2016年3月25日の株価と為替レート(1ドル=113円)に基づき算出。