アカデミー賞主演男優賞を獲得したレオナルド・ディカプリオが主演を務める『レヴェナント:蘇えりし者』(4月22日公開)で、音楽家・坂本龍一の楽曲が全編にわたって使用されている音楽版予告が1日、公開された。
本作でメガホンを取るのは、65年ぶり史上3人目の快挙となる2年連続アカデミー賞監督賞を受賞したアレハンドロ・G・イニャリトゥ監督。巨額の製作費をかけ、極寒の地で自然光のみを使った9カ月間のロケを敢行した。ディカプリオは、ハンティング中に熊に喉を裂かれ瀕死の重傷を負った上に、目の前で息子を殺され復讐心を燃やす主人公に扮し、鬼気迫る演技で親子の絆を見せる。
本作の音楽を作曲した坂本は「この作品には息をのむような素晴らしい映像が詰まっています」と説明。その上で、「私は音楽で、主人公ヒュー・グラスの壮大なドラマを表現しました」と明かす。また、本作の「まだまだ荒い編集の映像を監督と一緒に見て、音楽について実際の音を聞きながら長く話し合いました」と制作背景を話し、「初めて見たその時から、この映画の主人公は"自然"だと思いました」とその感触を口にする。
複雑なドラマも描かれている本作だが、特に坂本の気を引いたのは自然の大きさだったようで、「(本作の撮影を務めたエマニュエル・)ルベツキが自然光で素晴らしい精度で撮影しています」と指摘。続けて、「そこで人間ドラマを包む大きな自然というものを音楽で描きたかった」とも打ち明けている。
『バベル』(07年)でも「美貌の青空」など坂本の楽曲2曲を使用したイニャリトゥ監督は、「彼の曲には余計なものがなく優雅で感動的だ」と評価。「今回の音楽には、感動的な静寂がある。静寂という"間"が映画にとって重要な役割を果たすんだ」と大ファンでもある坂本による音楽が、作品にとって重要な役割を果たしていると分析する。坂本は、イニャリトゥ監督との最初の電話で「メロディよりもサウンドだ。サウンドの積み重ねが必要なのだ!」と力説したという。それを思い返しながら、イニャリトゥ監督は「覚えやすいメロディの音楽を使う映画が多いのですが、そういうものを目指していたのではない」と胸を張ってアピールした。
公開された映像では、坂本の壮大ながらも奥行きを感じさせる、非常に繊細な音楽を収録。同時に坂本が語った大自然の映像や、ディカプリオの迫真の演技を堪能することができる。
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