3月30日、Bluetooth SIGは都内で記者会見を開き、市場動向や今後のロードマップについて解説。例年の会見と同じく、メンバー企業によるさまざまなBluetooth製品、技術、開発キットの展示もあった。
BluetoothはIoTという第三の波で飛躍的に成長
今後、何百億台というIoT機器の相互接続が見込まれている。例えば調査会社のレポートは様々だが、IoTが次の大きな市場になるのは間違いないだろう。そのIoT機器の接続では、Bluetoothが多く使われる。2020年までにBluetooth接続のIoTデバイスが140億個ほど出荷されるであろうという調査会社の予測を示し、IoTデバイスの3分の1程度を占めるとした。
このような状況を背景に、Bluetoothに関心を持ったメンバー企業も順調に数を増やしている。現在、28,500のメンバー企業がBluetooth SIGに加盟しており、昨年(2015年)は14%の伸びを見せた。また、メンバーの約3分の1がAPAC(Asia‐Pacific:アジア太平洋)地域の企業で、日本企業は1,418社、昨年からは18%の伸びとなっている。
Bluetoothにおける三つ波。まずはPC市場、次にスマートフォン市場がBluetoothをけん引。そしてIoT機器が従来をはるかに超えるビックウェーブとして到来する |
2020年までにBluetooth搭載IoTデバイスは140億ほど出荷されるという。これは従来の7倍程度の規模 |
今後を考えたBluetoothの目標としては、「(最大4倍の)より広い範囲への通信」、「必要電力を変えずに(最大2倍の)通信速度」、「アプリケーションの可能性を大きく広げるメッシュネットワーク」を掲げた。これらはBluetoothの新しい規格として2016年中に制定される予定だ。
ただし、速度と到達距離はトレードオフの関係にあるので、到達距離を重視すると速度やレスポンスは落ちる。現在の規格範囲でも、数百メートルの利用が可能な製品が出ていると補足した。さらに、一対一接続の場合はセキュリティを必須としておらず、製品によっては追加で組み込まれている。これが多数の接続が行われるメッシュネットワークになると、セキュアな接続が規格に含まれるだろうとも示唆した。
注目すべき利用例として、Bluetooth Beaconを挙げる。成田空港での利用例は、屋内光で発電したビーコンを使ったクールな技術だと紹介していた。
三つ目が、多くの機器が絡み合うメッシュネットワーク。隣との距離がある程度短ければ、多くの機器が連携して動作する |
ビーコン技術は省電力性を生かして屋内測位に使われているが、写真のように農業でも活用できる。非常時に「スマホを持った人」の位置を特定して、救助に向かうといった利用も可能 |
最後に、開発者向け対応を紹介。アプリケーション開発者向けに「Bluetooth Developer Studio」、今後のクラウド接続に向けて「Bluetooth Internet Gateway」を新たに提供開始。Smart Starter Kitも、毎年新しい機能を追加している。これらの開発キットはSIGメンバーでなくても入手可能だ。
アプリケーション開発技術者向けのツール「Bluetooth Developer Studio」を提供。統合開発環境で開発スピードを上げることができる |
IoT機器をクラウドへとつなぐ「Gateway Smart Starter Kit」も提供開始 |
メンバー企業による展示も例年通り実施
例年のBluetooth SIG会見では、メンバー企業の展示が行われている。今年も各社が自社製品、技術、開発キットや採用製品を持ち寄って説明していた。
マクニカは開発者向け製品のボードに加えて、CSR社のメッシュネットワークを利用したミネベア社の照明「SALIOT」を紹介。スマホを使い、ライト(最大100台)の向きや明るさを自在に調整できる |
ルネサス エレクトロニクスは、開発支援ツールを多数展示。左に見える電池レスビーコンは、人の移動にともなう振動で発電してバッテリレスを実現している |
ASWY社は宙に浮くBluetoothスピーカー「Air Speeker V2」を展示。インテリアとしてもなかなかおもしろい |
HOTONEは、ギターエフェクター「XTOMP」を展示。デジタルマルチエフェクターで、スマホからエフェクトの種類を選択可能。見ての通りスマホサイズでかなり薄い |