今年の1月下旬に日銀が導入したことで、ニュースになっている「マイナス金利」。マイナス金利とは「お金を預けて手数料を取られる」、簡単に言うとそういうことですが、現在のところマイナスになっているのは銀行が日銀にお金を預けるときの金利です。このマイナス金利が私たちの生活にどう影響するのか、また今後どうしたらいいのかの対策も合わせて考えてみましょう。

マイナス金利に負けない家計作りを

私たちが実際に銀行にお金を預けるときの金利がマイナスになったわけではありませんが、普通預金金利を始め預金金利は限りなくゼロに近い状態になっています。これまでもわずかだった金利が更に少なくなってしまって、銀行に預けたお金は実質的に全く増えないと理解しておいた方がいいでしょう。

そんな状況の中で、どのように資産を増やしていけばいいのでしょうか? 貯め方はもちろん、お金の使い方も工夫して、マイナス金利に負けない家計を作ることが大切です。

マイナス金利時代のお金の貯め方は?

マイナス金利はお金が減っていく?

現在普通預金金利は0.001%~0.02%程度。100万円を預けても、金利が低いところだと1年に10円(税金を取られたら8円!)しか利息がもらえない状況です。この状態で安易にATMを時間外に利用したり、他行ATMを使ったりすれば、あっという間に実質的な金利がマイナスになるのは避けられません。手数料などのコストについては、今まで以上に気をつけなければならないといえるでしょう。

その一方で、住宅ローンなどの金利も引き下げられているので、これからマイホームを購入する人などは低金利のローンが借りられます。また、現在住宅ローンの返済中の人も、借り換えをすることで返済額を減らすことが可能です。現在借りているローンの金利と借り換え後の金利を比較して提言硬貨が見られるなら、積極的に借り換えを行うことで家計負担を減らすことが可能です。

ただ、いくらローンの金利が安くなったからといっても、カードローンなどは別。預金金利の低さに比べてかなり高い利息を払わなければなりません。むやみにカードローンを利用すれば、あっという間にお金は目減りしていくことになるので注意しましょう。

たんす預金しか方法はないの?

金利が付かないならわざわざ銀行に預けずに自宅で管理した方がいいと考える人もいるでしょう。事実、マイナス金利が実施されてから金庫の売り上げがかなり増えているといわれています。

ただ、大金を家に置いておくのは、安全面からもあまりオススメはできません。生活費を銀行からこまめに引き出している人は、なるべく1カ月分をまとめて引き出すなど手間を減らして、「時間外だけどキャッシュが足りない!」という事態を避ける工夫は大切です。

また、生活費を入れていて頻繁に出し入れする口座は、自宅または勤め先の近くにATMなどがある銀行にすること。そして必要以上のお金を普通預金口座に置きっぱなしにしないなどの工夫も必要です。

預貯金などは定期預金も含めてかなり金利が低い状態なので、どうしても安全確実に預けたいお金は、ネット定期など少しでも金利が有利なものに預けかえることを考えましょう。キャンペーンなどで金利が優遇されているケースもあるので、そうしてお得なものを積極的に利用していくこともいいでしょう。

ただし、定期預金などあまり長期の預け入れは今後の金融環境の変化によっては不利になる可能性もあるので、全額まとめて預けるのは避けるのが無難です。基本は1年程度の短期で満期を迎えるものに預け、一部を金利が高めの長期の定期にするなど必ず預入期間も分散しておきましょう。

百貨店積み立て、旅行券積み立てなどで利息以上に得する方法

お金を預けておけるのは銀行だけではありません。近い将来使う予定があるお金はその目的に合ったもっと有利な商品を利用することを考えましょう。例えば、百貨店積み立ては12カ月貯めると1カ月分が上乗せされたお買い物券がもらえるので、毎月1万円ずつ積み立てると1年後には13万円のお買い物ができます。

ふだんデパートをそんなに利用しないという人には、いくら有利だからといってもあまりオススメできません。しかし、例えば子供の制服購入先に指定されているデパートであるとか、お中元やお歳暮は決まったデパートで利用している、いつも購入する好きなブランドが入っているので直営店ではなくデパートで購入する、という人ならかなりお得感があります。

また、旅行や帰省などの予定がある人なら旅行券積み立ても預貯金より有利です。JTBや日本旅行など旅行会社が取り扱っている積み立てなら、パック旅行だけでなく、新幹線などの鉄道チケットや航空券などの購入もできます。JALやANAなども同様の積み立てがあり、こちらは提携クレジットカードで積み立てるとカードのポイントも貯まり二重でお得になります。ただ、旅行券積み立ても使い道が限られているので、使う予定と金額に合わせて利用することが大切です。

このように、マイナス金利時代は預金にこだわらず、使い道に応じて有利な預け先を積極的に活用することが資産防衛の有効手段となります。様々なサービスをチェックして、自分がお得になれる預け先を見つけましょう。


堀内玲子
ファイナンシャルプランナー。証券会社勤務後、編集製作会社で女性誌、マネー関連書などの編集を経て93年に独立。96年ファイナンシャルプランナー資格を取得。FPとして金融・マネー記事などの執筆活動を中心に、セミナー講師、家計相談などを行う。著書に「あなたの虎の子資産倍増計画」(PHP研究所・共著)「年代別 ライフスタイル別 生命保険のマル得見直し教室」(大和出版)など。