DEEのiCAT事業部は30日、米iCAT製となるLinuxベースのオーディオ用OS「Realtime Audio Linux OS MsHD-Vegas」(以下、MsHD-Vegas)を発表した。4月5日からOEM出荷を開始する。合わせて、同OSを搭載したAV用PC「iCAT AVC」シリーズと、マザーボードとOSをセットにした「VEGASUS-Core」も発表した。
MsHD-Vegasは、次世代のネットワーク・オーディオ技術であるAudio over IPやHDMI over IPなど、すべてのAV機器がLANで接続されることを想定して開発されたAV機器用OS。Kernelやデバイスドライバなどのミドルウェア、ユーザーインタフェースライブラリ、アプリケーションの各レイヤーをすべて見直し、アプリケーションからKernelにいたるまで音楽と映像に特化した機能を盛り込んだ。DLNAの定義による、DMS、DMR、DRC、DRPといったすべてのファンクションに対応する。
3つのモードを備え、「PCモード」ではPCオーディオに必要なすべての機能を内蔵。ドライバからアプリケーションをiCATが一貫して実装し、設定を行っている。GUIはWindowsライクで直感的に操作可能。「ネットワークプレイヤーモード」では、ブラウザやアプリから選曲、再生、停止などを操作できる。
「音楽用NASモード」では、高音質NASとして動作。英illustrate製の配信ソフトをチューニングして移植し、タグ情報をベースにした選曲に対応。24bitのアップサンプリングやフォーマット変換もサポートし、再生機の性能に合わせた配信方法も選べる。ハイレゾ音源やDSD 22.4などにも対応する。ネットワーク・オーディオ機器側がSMB 3.0に対応している場合は、より高速なデータ転送モードも利用可能だ。
Intel HD オーディオの性能を引き出すソフトウェア・ネットワークDACも新たに搭載。MsHD専用のHQPlayerで機能を利用できる。そのほか、iTunesサーバー機能、CDリッピング機能、CD/DVDライティング機能、タグエディタ、CD/DVDプレイヤーなどのオープンソースアプリも内蔵している。
iCAT AVCシリーズ
「E32L-4K」は、CPUにIntel Core-i3-6100U、グラフィックスにIntel HD Graphics 520(CPU内蔵)を採用し、OSに「Realtime Audio Linux OS MsHD-Vegas」を搭載するAV用PC。価格は305,000円(税別)から。
NASモードでCPUクロックを550MHzまで下げ、ネットワークプレイヤーモードでは499MHzから876MHzにすることでリソースを調整。省電力性に優れている。TDPが15Wと低いのでバッテリ駆動にも対応可能。
そのほか、メモリがDDR4 4GB、ストレージがM.2 128GB SSDと1TB HDDで、インタフェース類は、Gigabit Ethernet対応有線LAN×1、IEEE802.11ac対応無線LAN、Bluetooth 4.1、USB3.0×4、HDMI×1、miniDisplayPort×1、3.5mmヘッドホンジャックなど。本体サイズはW429×D45(58)×H200mm、重量は3.6kg。
「E52L-4K」は、CPUにIntel Core i5-6260U、グラフィックスにIntel Iris Graphics 540(CPU内蔵)を備えるモデル。OSによってソフトウェアレンダラを強化しつつ、ソフト側とハード側のハイブリッド処理により、高解像度映像をスムーズに描画できるという。そのほかの仕様は「E32L-4K」とほぼ共通。
VEGASUS-Core
「VEGASUS-Core」は、ASUS製のMini-ITXマザーボード「MAXIMUS VIII Impact」と、「Realtime Audio Linux OS MsHD-Vegas」をインストールしたシステム用SSD、有料ソフトのライセンスがセットになった製品。オーディオPC用マザーボードとして、高いサウンドクオリティを提供する。DEE直販でのみ取り扱われ、価格は98,000円(税別)。