日本学生支援機構は3月29日、「平成26年度学生生活調査」の結果を公表した。調査期間は平成26年11月(隔年調査)。対象は全国の大学学部・短期大学・大学院に在籍する学生で、有効回答数は4万5,577人。
奨学金、学生の半数が受給
日本学生支援機構や大学等の奨学金を受給している学生の割合は、前回調査と比べて全区分で減少。
「大学学部生」における受給率は51.3%(前回比1.2ポイント減)、「短期大学生」は52.9%(同0.5ポイント減)、「大学院修士課程」は55.4%(同5.1ポイント減)、「大学院博士課程」は62.7%(同3.5ポイント減)、「大学院専門職学位課程」は51.8%(同8.9ポイント減)となった。
家庭の年間平均収入額は、「大学生」の家庭が824万円(前回比1.5%増)。「短期大学」は658万円、「大学院修士課程」は781万円、「大学院博士課程」が734万円、「大学院専門職学位課程」が799万円だった。大学生の設置者別では、「国立大学」に通う学生の家庭が最も高く839万円。「私立大学」は826万円、「公立大学」は733万円だった。
家庭の年収区分別奨学金受給者(大学生)の割合を見ると、受給率が最も高いのは「年収500万円~600万円」(12.7%)の世帯。以下「年収600万円~700万円」(12.4%)、「年収400万円~500万円」(11.1%)、「年収700万円~800万円」(10.9%)、「年収300万円~400万円」(10.1%)と続く。
「年収200万円未満」の家庭の受給率は8.2%、「年収1,000万円以上」の受給率は11.0%だった。
大学院生では受給率が最も高いのは「年収200万円~300万円」の世帯。以下「300万円~400万円」「400万円~500万円」が続いた。
学生生活費は前回調査よりも減少
学生生活費を調査したところ、前回調査より減少したのは「大学生」の186万2,100円(1.8万円減)、「短期大学生」の158万円(7.1万円減)だった。一方、前回調査よりも増加したのは「大学院修士課程」で175万円(1.5万円増)、「大学院修士課程」で216万円(4.2万円増)、「大学院専門職学位課程」の229万円(9.5万円増)だった。
国立大学生と私立大学生を比較すると、「国立」は150万円、「私立」は198万円と、私大生の学生生活費が国立大生を48万円上回る結果となった。学生生活費の内訳を見ると、「学費」の項目は私立が国立より71万円高いが、「生活費」は国立が私立より24万円高い。
大学生の収入額は197万1,400円となり、前回調査に比べて1.3%減少。大学生の収入額に占める割合は、「家庭からの給付」が60.6%、「奨学金」が20.3%、「アルバイト」が16.3%で、いずれも前回調査とほぼ同じ割合となった。
貸与型の奨学金では必要な層に支援が届かない
大学生の不安や悩みについては、「希望の就職先や進学先へ行けるか不安」という項目の割合が69.9%で最も高い。「卒業後にやりたいことが見つからない」は40.8%、「授業内容についていっていない」は35.2%、「経済的に勉強を続けることが難しい」は17.3%となった。
同調査の結果を受け、「奨学金の受給希望及び受給状況(大学院)」の分析を行った早稲田大学教授の吉田文氏は、「家庭の所得が上昇するほど奨学金の受給率は低下し、それに伴い『(奨学金は)必要ない』とするものが増加している。とりわけ、年収が1,500万円以上の層では『必要ない』が急増し、受給率が急減している」とコメント。
その上で、「興味深いのは、いずれの課程においても、所得階層が低い層に『奨学金を希望するが申請しなかった』者が多く、とりわけ年収が400万円未満の階層で多くなっていることである。これらの階層では、卒業後の返還が大変なので申請をやめたと回答したものが多い。貸与型の奨学金では必要なものに届かない現実がある」(吉田氏)と指摘している。