説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりでも正しく理解していないことがあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『iPhone SEのバッテリーはどうして長持ちなの?』という質問に答えます。
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Appleが公開したスペックシートで確認すると、同サイズのiPhone 5sでは音楽再生40時間・ビデオ再生10時間のところ、iPhone 6sは音楽再生50時間・ビデオ再生13時間です。画面と本体サイズが異なるiPhone 6sと比較しても(音楽再生50時間・ビデオ再生11時間)、引けを取らないどころか上回っています。
iPhone SEのバッテリーが長持ちする理由ですが、素材はリチウムイオンで変わらず、ボディサイズがiPhone 5sとまったく同じことからしても、容量が大幅に増えたとは考えにくい状況です。搭載されている部材の改良が重ねられ、iPhone 5sの頃より全体として省エネルギー設計になった結果、バッテリーの持ちがよくなったと考えられます。
もっとも影響がありそうな要素としては、SoCの性能向上が挙げられます。プロセスルールはiPhone 6に搭載の「Apple A8」が20nm、iPhone 6sとiPhone SEに搭載の「Apple A9」は14nm/16nmと、iPhone 5sに搭載の「Apple A7」(28nm)と比較して微細化が進んでいます。微細化が進めばより小さな電圧で動作できるようになり、消費電力を増やすことなく高い性能を得られますから、動作クロックが上がったにもかかわらずバッテリーが長持ちするようになったのでしょう。
音楽やビデオの再生とは直接関係ありませんが、モーションコプロセッサの設計変更もトータルの消費電力節減に影響していると考えられます。iPhone 5sに搭載の「M7」は、Apple A7から物理的に独立していましたが、iPhone SEに搭載の「M9」はApple A9と同じパッケージにまとめられた結果、CPUとやり取りする距離が縮まり消費電力も減りました。このような最新技術の導入が、iPhone SEの消費電力低減に貢献していることは確かです。