Mozillaは、3月14日にThuderbirdの新バージョンとなる38.7.0をリリースした。すでに本誌でも紹介したように、Firefox 45 ESR(法人向け延長サポート版)がリリースされている。これまでは、Thunderbirdもこのタイミングに合わせ、メジャーバージョンアップを行ってきた。
しかし、今回はマイナーバージョンアップとなった。すでにThuderbirdは、新機能の搭載は行わないとのアナウンスがなされており、Thunderbird ESRも17.0.11が最後となり、バージョン24以降ESR版と統合された。その後、バージョン31(機能修正のみ)、バージョン38(Lightningが統合)とメジャーバージョンアップが続いた。しかし、今回は機能修正もなく、セキュリティアップデートのみであった。バージョン38のこれまでのリリースと変更内容は、以下の通り。
- バージョン38.0.1(2015/6/11):Lightningを統合など、12の新機能、変更5点、修正17点
- バージョン38.1.0(2015/7/9):修正5点
- バージョン38.2.0(2015/8/14):変更1点、修正1点
- バージョン38.3.0(2015/9/29):保存したファイルタブに検索機能とクリアボタンを追加、修正7点
- バージョン38.4.0(2015/11/23):修正2点
- バージョン38.5.0(2015/12/23):修正3点
- バージョン38.6.0(2016/1/7):修正3点
各マイナーバージョンアップでは、セキュリティアップデートも行われている。
バージョン38.7.0のセキュリティアップデート
今回のセキュリティアップデートの内容を紹介しよう。以下の通りである。
- Graphite 2ライブラリにおけるフォント脆弱性[最高]
- NSSにおけるASN.1デコード中のバッファオーバーフロー[最高]
- HTMLパーサにおけるメモリ割り当て失敗後の境界外読み取り[高]
- 悪意のある NPAPIプラグインによるメモリ破壊[高]
- XML変換中の解放後仕様[最高]
- SetBodyにおける解放後仕様[最高]
- HTML5文字列パーサにおける解放後仕様[最高]
- MP4処理中に配列を削除した際のlibstagefrightにおけるメモリリーク[低]
- CSPレポートを通じたローカルファイルの上書きと潜在的な特権昇格[高]
- さまざまなメモリ安全性の問題(rv:45.0/rv:38.7)[最高]
2015年のバージョンアップペースを見るに、今後も不定期にバージョンアップが行われていくことが予想される(セキュリティアップデートが優先されるだろう)。新機能はあまり期待できないが、修正やセキュリティアップデートは必ず行われるので、自動更新を有効にし、つねに最新の状態を維持すべきであろう。