内閣府が行った平成26年度の調査によると、成人女性のおよそ5人に1人が「デートDV」を体験していると言います。デートDVとは、恋愛関係にあるカップルの間で起こる、なぐる、ける、物を壊す、言葉で傷つけるといったさまざまな形の暴力のこと。性的暴力もその1つで、セックスの強要や避妊を拒否する行為などが含まれます。
これらは望まない妊娠・出産や中絶につながるため、女性に大きなリスクを負わせます。今回は、性的暴力によって起こり得るリスクを知り、どうすれば避けられるかを考えてみましょう。
望まない妊娠に伴う「中絶」のリスク
女性がデートDVを受けて、望んでいない状況で避妊しないセックスをした場合、当然ながら、妊娠する可能性があります。妊娠してもパートナーと協力して育てていく決断ができればよいのですが、中にはそうならないケースも。望まない妊娠は、女性の体や人生にさまざまな影響をもたらします。
まず赤ちゃんを諦める場合には、中絶手術を受けなければいけません。信頼できる指定医のもとでなら、ほとんどの場合、安全に手術を受けることができます。しかし手術である以上、リスクはあります。麻酔などで体に負担がかかることは言うまでもありませんが、まれに子宮内感染や子宮に傷が付くなどのトラブルが起こることもあります。さらに、それらのトラブルや、何度も中絶を繰り返したことが原因で、将来、赤ちゃんがほしくなったときに妊娠しにくくなることもあり得るのです。
一方で出産する場合も、シングルマザーになって生活に困窮する、予定外の出産・育児によってキャリアを諦めざるを得なくなるなどのリスクが考えられます。
また、コンドームを使わないセックスには、クラミジア感染症、梅毒、HIV感染症(エイズ)などの性感染症(STD)のリスクがあります。