世間一般に、セックスの経験が豊富な女性は、子宮頸(けい)がんやSTD(性感染症)になりやすいというイメージがあるようです。実際のところはどうなのでしょうか。今回は、「セックスの回数の多さ」と病気に関する気になる疑問を検証します。
子宮頸がんの原因は「HPV感染」
子宮頸がんの原因には、HPV(ヒトパピローマウィルス)というウイルスが関係していると言われています。HPVには約100種類の型があり、そのうち数種類の「ハイリスク型」と呼ばれるウイルスに感染すると、子宮頸がんを発症するリスクが高く、それとは別の数種類が、STDの一つである尖圭(せんけい)コンジローマの原因になることが分かっています。
このHPVは主にセックスを介して感染するため、「セックスの経験が豊富な女性が子宮頸がんになりやすい」と言われることがありますが、この噂(うわさ)には誤解があります。
男性経験の豊富さは関係ない
注意したいポイントは、HPVに感染したからと言って必ず子宮頸がんを発症するわけではないということ。HPV自体はよくあるウイルスで、セックス経験のある女性の約80%は、一生のうちに一度は感染すると言われているほど。しかしHPVに感染しても、ほとんどの場合、体の持つ免疫力のおかげで自然に消えてしまいます。感染者のうち、感染が持続するのは10%程度で、そのうちがんに進行するのは1~2%程度と言われています。
確かに、セックスを経験した年齢が早く、不特定多数の人とセックスをしている女性は、HPVに感染するリスクや感染が持続するリスクは高いと言えます。しかし、感染からがんに進行するリスクが高いとは言えません。セックスを一度でも経験したことがある女性なら誰でも子宮頸がんにかかるリスクがある、ということを覚えておきましょう。