さまざまなアーティストの作品を手がける作曲家/音楽プロデューサーのJeff Miyahara氏と映像作家のSHOWMOV氏がiPad Pro/iPhone 6s PlusとGarageBand/iMovieを使ってマイナビニュースのために創り上げたオリジナルの楽曲とそのMVを公開! "No Cables"をコンセプトにしたスペシャルクリップの制作過程がこれだ!!
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前回から大分間隔が空いてしまいましたが、その時間を使って、iPad Proと新バージョンのGarageBandで実際に曲を作ってみました。さらに、曲にはiMovieで制作されたMVをつけています。MVの撮影はiPhone 6s Plusのみ、編集はiPad Proのみで行いました。MVの撮影と編集には、前回、僕がiPad Proを操作しているところを写真に収めてくれた映像作家のSHOWMOVさんがあたっています。
それでは、早速出来上がったMVをご覧ください。タイトルは"No Cables"です。
いかがでしたでしょう? 作品の冒頭、iPad Proに覆い被さったケーブルをどかすカットがあったと思いますが、曲の制作にも、映像の制作にも、実はケーブル類を一切使っていません。通常、楽器やボーカルの録音には外部デバイスを利用して、iPad Proにオーディオを取り込む必要があるのですが、今回はマイクもiPad Pro内蔵のものを使っています(MVの23秒で僕が"No Cables"と歌っているカットで確認できます)。
また、ドラムやベース、シンセサイザーの音は、GarageBandに入っているものを使っているのですが、バージョン2.1で搭載されたLive Loopsを活用すべく、予め収録されている1,000種類以上ものApple Loopsのライブラリからセレクトして並べています。全部で12トラックを使ってます。比較的シンプルな仕上がりになっているのではないかと思います。
Live Loopsは、グリッド状になったセルと列をタップするだけで音楽のループを鳴らすことができ、DJがプレイするような感覚で簡単に作曲できるという新機能です。特別な知識やハードウェアも必要なく、自分が気に入ったループを並べていくだけでOK。EDM、ハウス、ヒップホップなど、GarageBandに用意されたテンプレートから作曲をスタートできます。
テンプレートのLive Loopsのセルには、ブルー、ベージュ、グリーンの3色で分けられた素材が並んでいます(注:曲によって使われているセルが異なります)。この中で、ブルーはオーディオ素材であるApple Loopsが鳴るようになっています。
例えば、テンプレートで、A、B、C、D、E、Fというブルーのセルが配置されているとします。まずAをGというループに差し替えてみましょう。このGにあたるループは先ほどお伝えした1,000種類以上も用意されているというApple Loopsのライブラリから選びます。同じ要領で、今度はBをHに、CをIに差し替えます。この作業を続けると、A、B、C、D、E、Fという並びはG、H、I、J、K、L、Mに置き換わっているはずです。置き換えたところで、試しにベージュ、グリーンのセルの再生を止めてみてください。これでもし、OKなら、テンプレートの楽曲とは全く異なる、あなた自身が作った曲になっています。自分で気に入った仕上がりになったら名前をつけて保存しましょう。これであなたのオリジナル曲が完成しましたね。
ベージュのセルは、新しいGarageBandの新機能であるDrummerが叩いているドラムやパーカッションなどのループが鳴っている。後から編集することももちろん可能 |
グリーンのセルは、ピアノやギターなどさまざまな楽器を演奏させるためのMIDI情報が入っている。これも後から編集できるので、楽器の演奏ができたり楽譜が読めるならトライしてみてほしい |
ベージュ、グリーンのセルの再生を止めてみて気に入らなかったら新しいループを加えてみてください。ベージュは打楽器が鳴っているループに差し替えるのが良いでしょう。このベージュのセルは、新しいGarageBandの新機能であるDrummerが叩いているドラムやパーカッションなどのループが鳴っています(注:ベージュのセルに直接Apple Loopsを置き換えることはできません。楽器のアイコンが並んでいる一番下にある「+」ボタンを押し、表示された「ループ」を選ぶとApple Loopsを並べられる新しいパートが作成されます。グリーンのセルも同様で、直接Apple Loopsを置き換えることはできません。こちらはピアノやギターなどさまざまな楽器が鳴っているかと思いますが、先ほどと同様に、「+」ボタンを押して別なApple Loopsを配置してみてください)。
といった具合に、どんな人でも1、2分以内に音楽の楽しさをそのまま体験できるのが新しいGarageBandなのです。これには感動を覚えるのではないでしょうか。ひとつひとつの音源、ひとつひとつのループのクオリティも非常に高く、このままリリースできるレベルと言って過言ではないです。一プロデューサーとして危機感を覚えるくらいでした。一言で言うなら、新しいGarageBandは「野獣(beast)」ですよ。こういうアプリって、まずは習わないといけなかっったりしますけど、これは本能の赴くままに操作すれば良いってところに「野生」を感じましたね。