必要最低限の持ち物で生活する「ミニマリスト」。ものを極限まで減らした彼らはどのような財布に何を入れているのだろうか。2名のミニマリストにお話を伺った。

ミニマリストの財布はミニマム?

1人目は『ぼくたちに、もうモノは必要ない。 - 断捨離からミニマリストへ - 』(ワニブックス/2015年6月/1,000円+税)の著者である佐々木典士さん。ミニマリズムの第一人者とも言える人物だ。佐々木さんには以前にも「モノを極限まで減らした暮らしは本当に快適か?」というテーマでインタビューをさせていただいた。

佐々木典士(ささきふみお)
編集者/中道ミニマリスト。1979年生まれ。香川県出身。早稲田大学教育学部卒。出版社のみを志望し、3年間就活をする。学研『BOMB』編集部、INFASパブリケーションズ『STUDIO VOICE』編集部を経て、現在はワニブックスに勤務。2014年クリエイティブディレクターの沼畑直樹とともに、ミニマリズムについて記すサイト「ミニマル&イズム less is future」を開設。著書に『ぼくたちに、もうモノは必要ない。 - 断捨離からミニマリストへ - 』(ワニブックス/2015年6月/1,000円+税)

佐々木さんが使用しているのは「abrAsus(アブラサス)」というブランドの「薄い財布」。「ポケットの中で、究極に快適なメンズ革財布」を目指して作られており、一般的な財布に比べて圧倒的に薄い。2013年のグッドデザイン賞を受けている、デザイン性にも優れたアイテムだ。

abrAsus(アブラサス)「薄い財布」

――この財布はどれくらい使っていますか?

佐々木さん「薄さにひかれて、1年前ぐらいに購入しました。素材の牛革に味が出て、いい色になってきていると思います」

――こんなに小さいと持ち運びも楽そうですね

佐々木さん「財布と携帯だけをパンツのポケットに入れて出かけることもよくあります。財布にはリングをつけていて、鍵とセットで持ち歩いています」

ミニマリストが「貯めないポイントカード」を財布に入れる理由

――財布の中身を教えていただけますか?

佐々木さん「中身はお金とカード類だけ。クレジットカード機能のついたSuicaと免許証、保険証など必要最小限です。TSUTAYAのTポイントカードも入れていますが、ポイントは貯めていません。この財布はカードをまとめて1カ所に入れる仕組みになっているので、カードの枚数が少なすぎると落ちてしまうんです(笑)」

――ミニマリストだとミニマムな財布でも容量が余るんですね(笑)

キーリングをつけて使用

――小銭はどのようにして持ち歩いていますか?

佐々木さん「左端の部分が小銭入れになっています。小銭を最大15枚入れられる設計なのですが、なるべく減らすようにしています」

――例えば小銭を使い切るようにお会計をする、とかでしょうか?

佐々木さん「それもありますが、財布を買い換えてからは小銭を盲導犬支援などの募金箱によく寄附するようになりました。例えばコンビニで買い物をしたときにお釣りで小銭をもらいますよね。小銭がたくさんあるときは、それをレジ横の募金箱に入れるようになりました」

――財布の中のミニマム化と社会貢献の一石二鳥ですね。買い物をするときは現金とクレジットカードどちらを使うことが多いですか?

佐々木さん「現金が多いです。ただ、以前にイベントに参加させていただいたVisaデビットカードも便利だと思います。その場で決済できるのがいいですね」

小銭入れは財布の左端に。15枚入れられる設計だそう

ミニマムな財布は使いやすい?

――財布が小さすぎて不便を感じることはありますか?

佐々木さん「小さくて不便だからこそ、きちんと管理をするようになりました。以前はカードを25枚ぐらい入れられる大きめの財布を持っていたのですが、レシートをぐちゃぐちゃにして入れっぱなしということがよくありました」

――レシートがぐちゃぐちゃ……、今のミニマムな財布からは想像できないです

佐々木さん「この財布はカードが6枚ぐらいしか入らない小さいものなので、中身を整理する癖が付きました。レシートも1日の終わりに取り出しています。収納が少ないからこそ、『きちんと管理しないと行けない』という強制力があり、整理もできるように感じます」

――整理せざるを得ない、という不便さがメリットになっているのですね