日本マイクロソフト 代表執行役 平野 拓也氏

「ワークスタイル変革」というキーワードはすっかり定着した感があるが、それを成果につなげるにはテレワークのソリューションを活用しよう……というだけではうまくいかないと、日本マイクロソフト 代表執行役 社長の平野拓也氏は指摘する。ここでは、3月10日に行われた中堅中小企業向けセミナー「マイクロソフトが実践したワークスタイル変革と攻めと守りのIT活用」の基調講演の内容をお伝えする。

ワークスタイル変革はマイクロソフトのコア

「10年以上、ワークスタイル変革に取り込んでいるが、正直な話、3回か4回は失敗している」

平野氏はこのように日本マイクロソフトの実情を明かしながら、安易なソリューションの導入だけではワークスタイル変革を達成できないと、会場に来場した中堅中小企業の担当者に警鐘を鳴らす。

理由は「テレワーク」と「ワークスタイル変革」というキーワードの微妙なニュアンスの差にある。テレワークといえば、多くの企業や人が「育児や介護など、特別な環境下にある社員を救済するためのソリューション」と考えがちだが、ワークスタイル変革はそうした特殊例の保護ではなく、会社全体の制度やポリシー、労務管理などの、トータルバランスを見ることが必要であり、働きやすいオフィス環境を実現するための変革になる。

そのため「私たちが『ワークスタイル変革』について語ると、IT企業だから『テレカンファレンスのためのソリューションの話』と思われがちだが、私が真に伝えたいことは『人が重要だ』ということだ」と、企業、社員自体のマインドセットを変えていくことが、企業のワークスタイル変革につながると平野氏は力説する。

「経営者がどういうビジョンを持っているかが重要であり、経営者が考えないと何も動かないし変わらない」(平野氏)