キャセイパシフィック航空は3月9日、2015年通期(2015年1~12月)決算と2016年の計画・見通しを発表。純利益は90.5%増の60億香港ドルを達成し、2016年は新たにマドリード、ロンドン・ガトウィックへの旅客便の運航を開始する。また、機材に関しては予定を1年前倒しし、2016年中に全てのボーイング747-400型旅客機の退役を予定している。

全ボーイング747-400型旅客機が年内に退役となる

2015年度通期決算での純利益は、前年度の31億5,000万香港ドル(1香港ドル=約14.5円)を上回る60億香港ドル(日本円で約850億円)にのぼり、一株あたりの利益は前年の80.1香港セントから152.5香港セントに上昇。業績は燃料価格の下落に伴い、前年を上回る結果となった。

同社は2015年、香港とチューリッヒ(3月)、ボストン(5月)、デュッセルドルフ(9月)を結ぶ各路線を新たに開設し、これら全ての新規路線で好調を維持している。また2016年6月にはマドリード、9月にはロンドン・ガトウィック空港への旅客便の運航を開始する。なお、香港ドラゴン航空は、2015年3月に東京・羽田、8月には広島への旅客便を開設した。

機材に関しては、2015年においてキャセイパシフィック航空は、6機のボーイング777-300ER型機と3機のエアバスA330-300型機を受領。9月に53機目のボーイング777-300ER型機を受領し、同機種の最後の受領を完了した。これと並行し、4機のボーイング747-400型旅客機と4機のエアバスA340-300型機が退役を迎えた。2016年2月には、エアバスA340-300型機のうち1機を退役させ、残り3機となったボーイング747-400型旅客機についても2016年中に全てが退役する見通しとなってる。

今後5年以内で、退役する機材を除く全機材が新塗装に変わる

また、2013年にボーイング社との間で6機のボーイング747-400型貨物専用機の売却について合意している。すでに引き渡しを終えている2機に加え、残る4機についても2016年末までにボーイング社への引き渡しを完了する予定となっている。

2015年12月31日時点で、キャセイパシフィック航空は計70機の新規運航機材の発注をしており、2024年までにこれらの機材を受領する。このうち、最新鋭のエアバスA350-900XWB型機については、2016年5月の1機目に続いて、年末までに計12機の受領を予定している。なお2015年5月には、すでに2機のエアバスA350型機用シミュレーターを受領している。

2015年11月には新デザインを発表。間もなく退役を迎えるボーイング747-400型機とエアバスA340-300型機を除く、キャセイパシフィック航空と香港ドラゴン航空の全てのワイドボディ機の全クラスで、新型座席または改良型座席に刷新される。加えて、最新鋭のエアバスA350XWB型機には、新型の客室、座席、機内エンターテイメントシステムを導入する。

香港ドラゴンも1月に「キャセイドラゴン」となり、今後、機体デザインも一新される

2016年の見通しに関してキャセイパシフィック航空のジョン・スローサー会長は、「2015年は2014年と比べて事業を取り巻く環境に改善が見られたものの、いくつかの非常に難しい課題にも直面しました。この難しい局面は、2016年も続くことが予想されています。アジア地域における他社との激しい競争、外国為替の動向、上級クラスにおける旅客需要の低迷といった要因は、旅客単価の押し下げ圧力となっています。航空旅客需要は全般的に堅調に推移すると予想しており、燃料価格の下落による恩恵も持続できると期待しています」とコメントしている。