電子帳簿保存法におけるスキャナ保存制度の規制緩和が施行されたのが2015年秋。領収書を電子化してしまえば紙媒体とはおさらばできる制度として注目されたが、タイムスタンプの付与が必要なことと、読み取りデバイスがスキャナのみという点で、結局ハードルが残ってしまった格好となっているのが実情だ。しかし、今回この残ったハードルも低くなるという噂が聞こえてきた。出張・経費管理のクラウドソリューションで世界的なシェアを持つConcurの日本拠点であるコンカーの代表取締役社長を務める三村真宗氏に真偽について話を伺ってきた。
導入が進まない電子帳簿保存法
「電子帳簿保存法は、10年前からある法制度ですが、適用しているのが130数社。それらの会社も請求書や領収書以外の用途で使っていて、領収書で適用させているという会社を、私は聞いたことがありません」(三村氏)
2015年秋、話題となった電子帳簿保存法の規制緩和だが、すぐに導入する企業も少なく、様子見状態だったのが実情だ。「2015年9月に始まった規制緩和ですが、実際にはそれでも高いハードルが残ったままだったのです」と三村氏は言う。
このハードルと呼ばれるものは、施行当初は、現金3万円の上限、電子証明書の添付、タイムスタンプ、スキャナ対応という大きく4つに分けられる。前回の規制緩和によって、前者2つが取り除かれたが、実際にはタイムスタンプの必要性と、スキャナのみが読み取りデバイスとして許可されるという点が残った。
「タイムスタンプは提供業者も少なく、自社システムに導入するとなると使用料のほかに、システム対応もしなくてはなりません。また、スキャナでの読み取りですが、そもそも領収書がより多く必要になる部署は社外で活動する営業部門であったりするわけですから、わざわざ会社に戻ってから読み取らなくてはならないのです」と語る三村氏。規制緩和といいつつも、実情に沿っているとは言いがたい部分が残ってしまったゆえに、一気に広まる気配がなかったのもうなずけるところだ。
「ですが今回、さらなる規制緩和によって、残りの2つも考えずに済むようになります。これによって電子帳簿保存法に対応しようという企業は劇的に伸びると思われます」と笑顔をみせる三村氏。昨年に続く、新たな電子帳簿保存法の規制緩和とはどのようなものなのだろうか?