2016年2月18日(現地時間。日本は19日早朝)、MicrosoftはWindows 10 Insider Preview ビルド14267をリリースした。ちょうど2016年1月は3回(ビルド11099とビルド11102、ビルド14251)、2月もこのまま行けば2月3日(現地時間)のビルド14257、今回のビルド14267、そしてあと1回程度のリリースを期待していいだろう。本ビルドでは過去のバグフィックスを行いつつも、Cortanaによる楽曲検索や、Microsoft Edgeとメッセージングの改善がなされた。

いくつかの新機能搭載と既存のバグフィックスが中心

Microsoft Engineering Systems Team CVPのGabriel Aul氏は公式ブログの冒頭で、「Release Preview Ring(リリースプレビューリング)」の存在に触れている。概要は以前の記事をご覧頂きたいが、ビルド10586から選択可能になったことを明らかにした。同氏は「早期のアップデートを求めるCB(Current Branch)ユーザー向けの優れたオプション」と称している。つまりCB環境向けのオプション項目となるため、現行のDevelopment Branchには表示されないが、ビルド10586.104からWindows Insider Programに参加してみると、リリースプレビューリングの選択が可能だった。

Windows 10 ビルド10576.104でWindows Insider Programに参加すると、「リリースプレビュー」の選択が可能になった。もちろんDevelopment Branchからは選択できない

興味深いのがWindows 10 Educationユーザー向けへのWindows Insider Programの開放だ。教育関係者向けエディションがリスクの高いDevelopment Branchを使うメリットはユーザー側に存在しない。穿った見方をすればMicrosoftがより多くの情報を求めていると考えられるが、前述のリリースプレビューリングを用意したことが大きく影響しているのだろう。

さて、ビルド14267だが、今回はいくつかの新機能が盛り込まれている。まずはCortanaによる楽曲検索機能だ。ウィンドウの右上にある検索アイコンを押すと、再生中の楽曲をCortanaが聞いて検索を行うという。残念ながら日本語版には用意されていないため、具体的な動作を確認できなかったが、TVやラジオで耳にした楽曲をそのまま探し出せるといった用途に使えるのではないだろうか。

Cortanaが新たに用意した音楽検索ボタン(公式ブログより抜粋)

Microsoft Edgeはバージョン31.14267.1000.0(EdgeHTMLは14.14267)に更新され、お気に入りバーの動作を改善した。以前はファビコン+サイト名で表示するため冗長だったが、新たにファビコンのみ表示する機能を追加している。これによりシンプルで使いやすいお気に入りバーとなった。なお、同バーを表示するには、<詳細(…)>ボタン→<設定>→<お気に入りの設定の表示>ボタンと順にクリックし、<お気に入りバーを表示する>のスイッチを「オン」に切り替える。なお、今回の仕様変更に伴い、<Show only icons on the favorites bar>という新たな項目も加わった。

お気に入りバーを右クリックすると、動作を選択できるコンテキストメニューが現れる

<Show icons only>を選択するとファビコンのみ表示。<Show names and icons>を選択すると元の状態に戻る

「お気に入りの設定」にも、常にファビコンのみ表示する設定項目が加わった

Microsoft Edgeに関しては、閲覧履歴やダウンロード時の動作変更も加わっている。<詳細(…)>ボタン→<設定>→<クリアするデータの選択>ボタンと順にクリックすると、<Always clear this after I close the browser>というスイッチが加わった。こちらを「オン」に切り替えると、Microsoft Edge終了時に閲覧履歴を自動的に消去できる。

Microsoft Edge終了時に閲覧履歴を削除する<Always clear this after I close the browser>

スイッチをオンにした状態でMicrosoft Edgeを再起動すると、閲覧履歴が自動的に削除されていた

後者はファイルをダウンロードする際の動作を選択可能にするというもの。既定では「%USERPROFILE%\Downloads」フォルダーへ自動的に保存する仕組みだが、設定項目の<Always ask me what to do with downloads>でその動作を変更できる。

ダウンロード時にアクションを選択できる<Always ask me what to do with downloads>

Internet Explore 11の通知バーに似ているが、事前にダウンロードするか否かを選択できるため、ネットワークトラフィックを気にしながらMicrosoft Edgeを常用しているユーザーには便利な機能といえる。

こちらは既定の状態。既にダウンロードを終えてユーザーに操作をうながしてくる

スイッチをオンにすると、ダウンロード前に保存先の変更やキャンセルなどを選択できる

最後は「メッセージング」。Skypeの音声/ビデオチャットを行うUWP(ユニバーサルWindowsプラットフォーム)アプリケーションだが、当初から必要最小限の機能しか持たなかったため、今でもデスクトップアプリ版Skypeを使い続けている方も少なくない。だが、本ビルドで2.13.24001.0にバージョンアップし、メッセージ送受信時に画像ファイルの添付を可能にしている。また、カメラロールに保存した画像や、GPSを使った現在位置の送信も可能。

以前からあったクリップアイコンだが、ようやく使用可能になった

<現在地>を選択すると「マップ」経由で現在位置を送信できる

実際に試してみると、まだまだ不安定で現在地の再送信を試している最中にメッセージング自体がハングアップしてしまった。筆者は手軽なチャットツールとして期待しているのだが、まだまだ常用するのはお薦めできない。

最後にバグフィックスと既知の問題について紹介しよう。以前のビルドで発生していた「回復」による"このPCを初期状態に戻す"や、サインイン時に現れていた「WSClient.dll」に起因するエラーダイアログ、<ストレージ>で発生していたシステムボリュームの誤動作を改善し、Intel RealSenseカメラによるWindows Helloの使用を可能にしている。

また新たにHyper-Vを有効にしている環境で複数の仮想スイッチを保有している場合、ネットワーク接続を失う問題を確認しているそうだ。その際は仮想スイッチを再作成、もしくは「netcfg -d」コマンドですべてのネットワークデバイスに対するクリーンアップを実行することを薦めている。わずかだが前に歩み出したWindows 10 Insider Preview。次期大型アップデートとなる「Redstone」に向けて開発は進んでいるようだ。

阿久津良和(Cactus)

前回の記事はこちら
・Windows 10 Insider Previewを試す(第41回) - 多くのバグを修正し、多数のバグが依然として残るビルド14257
http://news.mynavi.jp/articles/2016/02/04/windows10/
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