健康と動脈硬化予防を啓発する情報サイト「血管健康くらぶ」はこのほど、「健康と動脈硬化に関する意識調査」の結果を発表した。同調査は2015年12月、20~60代の男女を対象にインターネットで行い、723人から有効回答を得た。
普段から「怖い」と感じている病気を3つ選んでもらったところ、1位は「がん」(84.8%)、2位は「脳卒中」(70.0%)、3位は「心臓病」(47.0%)だった。特に「がん」と「脳卒中」は半数以上の人が選んでおり、3位の「心臓病」に大きく差をつけている。
「怖い病気」の上位に入った脳卒中や心臓病は、血管の老化やコレステロールが大きな原因となる病気である。そこで、「自身の血管は、年齢の割には健康だと思いますか? 」と尋ねたところ「自覚症状はなく健康だと思う」と57.7%が回答した。「自覚症状がある」は5.9%にとどまっている。
健康診断の受診の状況を聞くと、最も多い回答は「年に1回は必ず受診している」(52.0%)で半数を超えた。「年に2回以上受診」(8.3%)、「2~3年に一度受診」(9.0%)を合わせると、7割近くは健康診断を受診している。しかし、「3年以上受診していない」という回答も30.7%みられた。
年代別に見ると、若い世代ほど健康診断の受診率が下がっていることがわかる。20代で3年以上受診していない人は、60代の倍以上であることも明らかとなった。
血液中のコレステロール値は、一般的な健康診断で検査でき、動脈硬化の重要な指標となる。そこで「コレステロール値を意識し自分の値を把握しているか」と尋ねたところ、年代によって大きな差が出ることがわかった。「把握している」と答えた人は60代の43.1%に対して、20代で13.9%、30代は11.7%にとどまっている。
「動脈硬化」というキーワードを聞いたことがあるか聞くと、一番少ない20代で80.6%、全年代平均では9割以上が「聞いたことがある」と回答した。
動脈硬化の症状や原因、進行について尋ねると、20代で説明できた人は、最大で20.8%だった。年代が上がるごとに割合は増えるが、60代でも59.0%で、41.0%は動脈硬化について詳しく説明できないことがわかった。特に若い年代は、キーワードは知っていても、動脈硬化に対する理解度は低いようだ。
帝京大学医学部附属病院 臨床研究センター長の寺本民生医師によると、心臓病や脳卒中を防ぐには、まず血管や動脈硬化について知ることが重要であるという。
動脈硬化にはさまざまな原因があるが、血液中の悪玉コレステロールが血管の内壁にたまっていくことが、主な原因のひとつといわれている。「コレステロールはこぶになり、血流を止めてしまうこともあります。最悪の場合、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすのです」(寺本医師)。
動脈硬化の進行を止める方法としては、バランスのよい食事を心がけることや、食物繊維を摂取して栄養の吸収を減らすこと、塩分を減らすといった食事療法が大切とのこと。そのほか、運動療法や投薬治療もあるという。