ASUS JAPANは17日、「世界初の水冷対応」をうたう17.3型ゲーミングノートPC「ROG GX700VO」の国内販売を発表した。これに合わせて製品説明会を開催し、独自の水冷ユニットなど製品の特徴を紹介した。
「世界初の水冷対応」を実現した水冷ユニット
「ROG GX700VO」は、オーバークロッカーやヘビーゲーマーといったエンスージアスト向けのブランド「R.O.G.」の製品。2015年9月に開催された家電見本市「IFA2015」で発表され大きな注目を集めた。
CPUにオーバークロック対応のIntel Core i7-6820HK、グラフィックスにデスクトップ版NVIDIA GeForce GTX 980を搭載するほか、32GBメモリやRAID 0仕様のNVMe SSDを備えるなど、まさしく"モンスター"というべきスペックを秘めたノートPCだが、その最大の特徴はPC本体と別に用意された独自の専用水冷ユニットだ。
ASUS JAPAN テクニカルプロダクト シニアマネージャー西康宏氏 |
製品説明を担当したASUS JAPAN テクニカルプロダクト シニアマネージャー西康宏氏は、「これまでのゲーミングノートPCでは、放熱性能からCPUやGPUといったスペックに制限があり、最高のパフォーマンスが発揮しにくい環境だった。最強のゲーミングノートPCを作るためには"制限なしの放熱ソリューション"とそれによって可能となる"制限なしのハードウェア"の搭載が必要だった」という。
ASUSが"制限なしの放熱ソリューション"として選択したのが水冷だ。具体的な名前は明かさなかったものの水冷関連のソリューションを手がけるベンダと、2年間にわたって開発したのが、「ROG GX700VO」に付属する着脱可能な水冷ユニットとなる。
内部にポンプと120mmサイズのラジエーターを2基搭載した大型のもので、このユニットとPC本体を接続して冷却液を循環させる。また本体の両脇に2基の冷却ファンを備え、これらを組み合わせて本体全体を冷却する。同社の測定した結果では、空冷と比較してCPUとGPUの温度が30%以上低下したという。
これにより、オーバークロック対応のIntel Core i7-6820HKやデスクトップ版NVIDIA GeForce GTX 980の搭載が可能なほか、これらの性能をフルに引き出し、現状のゲーミングノートPCを大きく超えて、デスクトップPCに近いパフォーマンスを発揮する。
ユニットのカバーをはずした様子。やはりラジエーターの大きさが目がいく。ファンノイズは思ったほどではないが、それなりにある |
PCとの接続面。赤い部分は電源コネクタで、ユニット接続時はここからPCに電力を供給する。その脇にあるのが、冷却水を通すパイプで、Oリングにより水漏れを防ぐ。かなり苦労したそうで試作を重ねたという |
「ROG ASUS Gaming Center」でオーバークロックからマクロ設定まで
「ROG GX700VO」では、設定ソフトウェア「ROG ASUS Gaming Center」を備える。ここからオーバークロックやキーボードマクロの設定が行える。オーバークロックでは、「最高」「標準」「最適化」というプリセットのほかに手動でも設定できる。
PC本体を水冷ユニットに接続すると自動的に「最高」プリセットが適用され、CPUは2.7GHzから4GHz、メモリは2133MHzから2800MHzまで引き上げられる。この時に再起動せずにそのまま使うことができるが、手動で設定を切り替えた際などは再起動する必要がある。
「ROG ASUS Gaming Center」からは、キーボードマクロやファンコントロール、特定アプリケーションに対して通信の優先度を上げる「GameFirst」なども設定できる。
ゲーミングPCとして豊富な機能を搭載
「ROG GX700VO」は、単純なゲーミングノートPCとしても豊富な機能を備える。キーボードはテンキー付きのUS配列で、30キー同時押し対応のアンチゴースト機能やイルミネーション機能を搭載する。前述の「ROG ASUS Gaming Center」を呼び出せるキーや、マクロ用のキーを5つ配置する。
テンキーのあたりにあるR.O.G.マークが印字されたキーで「ROG ASUS Gaming Center」が呼び出せる |
マクロキーはM1からM5の5キー。一番左側に配置されているのはゲーム実況向けソフト「XSplit Gamecaster」の呼び出しボタンとなる |
また、サウンド面ではESS Sabre HiFi DACを搭載し、384KHz/32bitに対応するほか、ESS製アンプも合わせて採用する。またゲーム用オーディオ最適化ソフトウェア「Sonic Studio」、ゲーム内の音の方向を視覚化する「Sonic Radar II」といったR.O.G.ならではの機能も備える。
このほか、NVIDIA G-SYNC対応ディスプレイやゲーム実況向けソフト「XSplit Gamecaster」の無期限ライセンスなども特徴として挙げられる。
「専用スーツケース」が付属
本体や水冷ユニットなど規格外な部分が多い「ROG GX700VO」だが、付属品も通常は考えられないものが用意されている。ゲーミングマウス「Sica」に加えて、持ち運び用途に合わせて、ノートPC本体と水冷ユニット、各種ケーブル類がすっきりと収められる「ゲーミングスーツケース」が"付いてくる"。
水冷ユニットだけで4.8kgあるので、例えばLANパーティやVR系デバイスのデモなどで、「ROG GX700VO」を持ち運びたいときには便利かもしれない(そういう機会がどのくらいあるか分からないが……)。
「ROG GX700VO」この"付属品"も含めて税別549.800円で19日に発売する。詳細なスペックについては、発表時のニュース記事を参照してほしい。