文房具売場の一角、高級感を出しているゾーンがある。ずらっと並ぶハードカバー&角丸の表紙、思わず手にとって、値段の高級感におののいた人も多いのではないだろうか。正直、ノートにしてはちょっと高いモレスキンはなぜこんなに人気なのか、輸入代理店のエムディーエス販促企画部、竹浪有佳里さんに伺った。
クラシックノートブック ハードカバー ルールド(横掛)、Large(2,808円) |
イタリアの出版社が復刻したノートブック
モレスキンのノートブックのもとになったのは、フランスの製造業者が売り出した無名のノートだったという。ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ、パブロ・ピカソ、アーネスト・ヘミングウェイ、ブルース・チャトウィンなど、名のある芸術家や思想家が愛用していたものの、一度はその歴史が途絶えてしまった。1997年、イタリアの出版社がこれらのノートにインスパイアされ、復刻版の発売に踏み切ったことで、現在のモレスキンがある。
しかし、正直なところ1冊3,000円近いとは少々お高い設定。人気があるのはなぜだろうか? 「自分流に使いこなせることで、ご支持をいただいています」と語ってくれたのは竹浪さん。「モレスキンノートは、自分好みの本のように作っていくことができます。書くのを専門にしている方は"書きスト"、ノートにいろいろなものを貼っている方は"貼りスト"など、ファンの方同士でも呼び名があるそうです(笑)。ハードカバーで丈夫なので、書きためておいてあとから見直すと、新たなアイディアが生まれるという話も伺ったことがあります」
ビジネスパーソン、クリエイター、アーティストなど、日常的に企画などのアイディアを必要とする層から人気を得ているようだ。一度使うと次も使いたくなってしまう、リピーターやファンを増やせる上質なつくりが、モレスキン人気の秘密なのかもしれない。
ちなみに基本の「クラシックノートブック」は、エクストラスモールサイズ、ラージサイズ、ポケットサイズの3サイズ。更に、ノート部分が「ルールド(横掛け)」「スクエア(方眼)」「プレーン(無地)」の3種類に分かれている。ほかにも、カラーノートブック、ソフトカバーなど様々な商品がある。
様々なコラボレーションアイテム
モレスキンといえば、コラボ商品も魅力だが、ドラえもんやハローキティなどのコラボ商品は、日本オリジナルで作っているのだろうか?
竹浪さん「コラボ製品については、イタリア本社ですべて決定しています。ドラえもんとコラボした製品は、表紙の見返しに英語版ドラえもんのコマが載っているんですよ」
イタリアでも人気を博しているドラえもん! もちろん、コラボノートは日本でもかなりの売れ行きだったそうだ。現在はLINE、星の王子さま、PEANUTS、STAR WARS、ドラえもん、コカ・コーラ、ブルーノート、BATMAN、不思議の国のアリス、LEGO、HELLO KITTY、THE HOBBITとのコラボ商品が展開されている。
ノート以外にもこんな商品
シンプルで、誰もが自分流に使えることが人気のモレスキンだが、実は他にもいろいろなシリーズを販売している。文房具や、通常よりも特化した用途を持つノートブックもあるという話をきいて、気になった商品を自由に見せてもらった。
■Adobe スマートノートブック クリエイティブクラウドコネクテッド&Evernoteコレクション
WEBのサービスとコラボしたのがこの2商品。ノートに書いたイラストやメモを、専用のアプリを通して撮影すると、それぞれイラストレーター、フォトショップ、Evernoteに取り込むことができる。Evernoteでは手書き文字認識機能があり、検索もできるようになるのがうれしい。
■ノートブック ツールベルト
最近人気だというのが、「ノートブック ツールベルト」。ノートに付け外しできるペンケースで、筆記具がばらばらにならない。モレスキンのノートブックにあわせて、ラージサイズとポケットサイズを展開している。
■チャプターズジャーナル
便利そうだったのが、「チャプターズジャーナル」。通常のモレスキンノートブックのイメージとは全然違ってやわらかな色味で、特徴的なのはノート内が複数のチャプターにわかれていることだ。家のこと、仕事のこと、趣味のこと……など分けて書き込むことができる。仕事に特化するなら、案件やクライアントごとのチャプターをつくると、メモが混乱しなくていいだろう。
■ヴォヤジュール
最後に、ユニークだったのが「ヴォヤジュール」。旅行に特化したノートブックで、ワールドマップや訪問先リストなどの項目もある。更に帯をはずすと、裏側に「I AM HERE」と書かれており、観光地で写真を撮ってSNSでシェアできるという。ちょっとうれしいおまけだ。
ヴォヤジュール(3,240円) |
まとめ
高級ノートブック「モレスキン」、その人気の一端に触れてみた。ちなみに、「モレスキン」という名前の由来は"Mole"の"skine"、つまり「もぐらの皮」のようだということでつけられたそうだ。もぐらをじっくり見たことがないので、本当に似ているかどうかはわからないが、高級皮のような表紙が醸し出す上質な雰囲気に、アイディアが刺激されることだろう。