イベントの時はもちろん、日々の通勤通学や洗濯など天気が気になることは多い。そんな時に役立つのが天気アプリだが、ただ天気を紹介するだけでなくグラフィカルな表示や花粉情報・台風情報など様々な情報の追加など多機能化している。

本稿ではiOSの天気アプリとして、標準アプリ、「tenki.jp」、「Yahoo!天気」、「ウェザーニュースタッチ」、「そら案内」の5本を比較していく。

標準アプリ

iOSに標準搭載されている天気アプリは、メイン画面の背景に現在の天気がアニメで表示され、天気の状況が直感的に分かるようになっている。

メイン画面は現在地の天気と気温に1時間ごとの天気と気温、9日先までの天気と最低・最高気温が表示されており見やすいレイアウトだ。画面を下にスクロールさせると日の出日の入りや降水確率といった詳細情報が見られるようになっている。

また、天気を知りたい場所をあらかじめ登録しておけば、スワイプで画面を切り替えて情報を見ることが可能。日本各地はもちろん海外の天気も登録しておくことができる。ただしUI面における使いやすさは抜群なものの、花粉情報や豪雨、台風といった日本ならではの生活に即した気象情報がまったくなく、くわしい情報を知りたい方には物足りないかもしれない。

天気が背景グラフィックで表示される

画面を下にスクロールすると詳細な気象情報が現れる

tenki.jp

日本気象協会が運営する天気予報専門サイト「tenki.jp」のアプリ。情報量が多いながらも必要な情報が把握しやすいレイアウトだ。

1画面で見られる内容は今日の天気と気温、降水確率、UV指数、風速、1時間ごとの天気と9日分の天気と気温、降水確率。1時間ごとの天気コーナーでは気温が折れ線グラフで表示されるので、1日の気温差が分かりやすい。

また、画面上部の現在地が表示されているメニューを左右にスライドさせると、「お役立ち情報」「天気図」「読み物」「地震」といった項目に移行できる。「お役立ち情報」では洗濯や服装、風邪対策、鍋など生活に役立つ指標が分かりやすく表示され、1日を過ごす目安として活用可能だ。

また、「天気図」では、天気図、気象衛星、PM2.5を画像で見ることができるのに加え、天気についての解説も添えられている。雨雲の様子をチェックできる「豪雨レーダー」も雨の時期に役立つだろう。

天気に関する情報が細かく、生活に役立つ内容も多い「tenki.jp」アプリだが、意外なのは花粉情報に関する機能がないこと。情報が充実したアプリだが少し残念なところだ。

情報量が多いメイン画面

着るものや洗濯などに関する指標も分かりやすく表示されている

ゲリラ豪雨対策などに必須の「豪雨レーダー」も搭載

Yahoo!天気

検索・情報サイトとしておなじみYahoo!の天気アプリ。1画面に掲載されている情報は9日間の天気と最高・最低気温、降水確率、そして概況や指数のボタン類と比較的あっさりした内容だ。ただし、画面内のタブをタップすれば1時間ごとの天気に表示が切り替わり、ボタンをタップすれば天気の解説や洗濯・紫外線などの指数といった情報のウィンドウが現れる。「雨雲」ボタンのタップで雨雲レーダー機能も利用可能である。

また、便利なのは通知機能。現在地を設定すれば朝、今日の天気を通知し、「プッシュ通知設定」では雨雲接近の通知が、「バッジ設定」ではアイコンバッジに降水確率や気温など表示させることが可能。

Yahoo!のアプリだけにYahoo!のサイトと連動したコンテンツが多く、花粉症、インフルエンザと季節に応じた項目から地震、津波、台風などの災害情報もアプリ上で閲覧することもできる。全体的に情報量に過不足がなく、天気アプリを見るうえで知りたい情報や機能がバランスよくそろったアプリだ。

必要な情報がまとまっているシンプルな画面

生活に即した指標もチェックできる

設定しておけば1日の天気や雨雲の接近を通知してくれる機能は便利だろう

ウェザーニュースタッチ

日本の大手気象情報会社ウェザーニューズ社の予報に基づくアプリ。天気予報や警報・注意報、雨雲レーダーといった様々なチャンネルが用意されており、メニューでチャンネルを切り替えることで様々な情報を得ることができる。チャンネルにはスキー・スノボや花粉といった季節に関するものから、台風や地震といった災害に関するものまで用意されている。

また、ユニークなのは、アプリ利用者による空模様の投稿写真で現在地の天気が分かる「周辺の空」チャンネルが用意されていること。デフォルトの状態のメイン画面はこの「周辺の空」チャンネルだが、メイン画面はカスタマイズで他のチャンネルの画面に変更することも可能だ。

ただ機能が多い反面、現在地の1時間ごとの天気や気温、1週間予報などよく利用しがちな情報はチャンネルとして用意されておらず、メイン画面に設定することができない。天気予報自体は「周辺の空」チャンネルから天気メニューのボタンをタップし画面を切り替えることで閲覧できるのだが、ちょっと手間がかかる。

他のアプリのように、1日の天気や最低気温をすばやくチェックするためというより、自分に必要な気象情報や災害対策情報を収集する目的で活用できそうなアプリだ。

使いはじめは少しとっつきにくい印象のインターフェースだ

メニューボタンからチャンネルリストを出して、見たいチャンネルを選択

各チャンネルの情報はくわしくて分かりやすい

そら案内

日本気象協会の予報を元にしたアプリ。1画面に表示されている情報は、今日の天気と気温、降水確率に、7日後までの天気気温、降水確率、そして天気についての概況とひかえめ。ただし、今日の天気と明日の天気はタップすることで、1時間ごとの天気や気温、降水確率などを表示させることが可能だ。

衛星のボタンをタップして出てきた画面では、気象衛星や天気図、台風など様々な画像や図をチェックすることができ、気象庁の降水短時間予報の「ナウキャスト」の画像は雨の時期に役立つだろう。ただし、洗濯や紫外線、花粉などといった生活において身近な情報についての機能は搭載されていない。

独自の機能としては「生物季節情報」と「投稿する」と2つある。「生物季節情報」はアプリに登録した土地の植物の開花や落葉などの情報が知ることができ、観光の際に利用できるかもしれない。また、「投稿する」はその名の通り天気の情報をFacebookやTwitterに投稿する機能だ。

全体的にシンプルな作り。洗濯や花粉といった生活に密着した情報は必要ないものの、降雨や台風情報は押さえておきたいと考える方に良さそうだ。

情報がコンパクトにまとまっている印象のメイン画面

衛星画像や天気図が見られるモードではPM2.5分布も把握できる

登録した土地の生物の状況が分かる「生物季節情報」

天気アプリ5本を比較してきたが、今回紹介したアプリのうち「tenki.jp」、「Yahoo!天気」、「そら案内」は気象庁のデータを使い、「ウェザーニュースタッチ」はウェザーニューズ社の予報を、iOSの標準アプリはアメリカの天気専門チャンネル「ザ・ウェザー・チャンネル」のデータを元にしている。そのため天気アプリ間で予報の結果がくい違うことも。

もし天気アプリでできるだけ確実な予報を得たいなら、おすすめは情報元の違う天気アプリを複数使って予報を見比べてみること。もしアプリ間で予報が同じになるなら確実で、もし結果が分かれるならどちらの天気にも対応できるよう用意しておくことができる。

また、雨の季節にかなり役立つのが雨雲のレーダー観測図だ。今回紹介のアプリでは、iOS標準アプリ以外はどれも搭載されているが、「Yahoo!天気」や「ウェザーニュースタッチ」なら雨雲の通知によるお知らせ機能が搭載されている。

様々なアプリが出ているものの、1アプリで完全な天気の予測は難しい。アプリの複数使いやアプリの機能の活用で、雨や雪をはじめ困った事態の対策を立てるのが賢い使い方だろう。

天気アプリの比較一覧