大阪府はこのほど、平成27年の府内の梅毒報告数(速報値)は317名だったと発表した。同報告より、5年前と比較して患者が約5倍へと急増していることが明らかになった。
厚生労働省によると、梅毒は性的な接触(他人の粘膜や皮膚と直接接触すること)などを介してうつる感染症。「梅毒トレポネーマ」という病原菌が原因で、感染すると全身にさまざまな症状が出る。
感染初期には、感染がおきた部位(陰部、口腔内、肛門など)にしこりができたり、ももの付け根部分のリンパ節がはれたりする。治療をせずに3カ月以上が経過すると、病原体が血液によって全身に運ばれ、手のひらや足の裏、体全体にうっすらと赤い発疹が出ることがある。
治療をしなくても発疹は数週間以内に消える可能性があるが、抗菌薬で治療しない限り、病原菌である梅毒トレポネーマは体内に残り、再発を繰り返すケースもみられるという。また、妊婦が感染すると「胎盤を通して胎児に感染し、死産、早産、新生児死亡、奇形が起こることがあります」として、同省は注意を呼びかけている。
平成27年の大阪府では特に女性の患者が多く、前年比で3.5倍にもなる81名に急増。年代別の内訳をみると10代が16名と前年比2倍で、10代と20代の若い世代が合計116名(男女)と、全体の約4割を占めるという結果になった。
大阪府は、感染経路の9割以上が性行為によるものだとしている。平成26年までは男性が報告数の9割以上を占めていたため、男性同士での性行為が感染を拡大させていると考えていたが、「平成27年では女性の報告数が増加していることからもわかるとおり、異性間の性行為による感染が拡大しています」と警鐘を鳴らしている。
感染予防として性行為時のコンドーム使用があるが、覆われていない部分の皮膚から感染が起こる可能性もある。そのため、厚労省は「100%予防できると過信はせず、皮膚や粘膜に異常があった場合は性的な接触を控え、早めに医療機関を受診して相談しましょう」としている。
※画像は大阪府のホームページより使用