財務省は2月8日、2015年の国際収支状況(速報)を発表した。それによると、海外とのモノやサービスの取引状況などを示す経常収支は16兆6,413億円の黒字となった。黒字幅は前年比13兆9,955億円拡大し、5年ぶりに前年を上回った。

経常収支の推移(出典:財務省Webサイト)

旅行収支は1962年以来53年ぶり黒字

貿易・サービス収支は2兆2,062億円の赤字。赤字幅は同11兆2,755億円縮小した。

貿易収支は6,434億円の赤字。原油の輸入額が減少したことなどから、赤字幅は同9兆7,582億円縮小した。輸出額は同1兆756億円(1.5%)増の75兆1,773億円と、3年連続の増加。輸入額は同8兆6,826億円(10.3%)減の75兆8,207億円と、6年ぶりに減少した。

サービス収支は1兆5,628億円の赤字。赤字幅は同1兆5,173億円縮小し、1996年以降で最少となった。旅行収支が1962年以来53年ぶりに黒字転化し、過去最大の黒字となったほか、「知的財産権等使用料」が1996年以降で最大の黒字となったことなどが反映された。

第1次所得収支は20兆7,767億円の黒字。黒字幅は同2兆6,563億円(14.7%)拡大し、1985年以降で最大となった。「直接投資収益」および「証券投資収益」が増加したことなどが影響した。第2次所得収支は1兆9,292億円の赤字。赤字幅は同637億円縮小した。

要因は原油価格下落による輸入額の減少

併せて発表した2015年12月の国際収支状況(速報)によると、12月の経常収支は9,607億円の黒字となった。黒字は18カ月連続で、黒字幅は前年同月比7,348億円拡大した。

貿易・サービス収支は174億円の黒字で、3カ月ぶりに黒字転化した。

貿易収支は1,887億円の黒字で、2カ月ぶりに黒字転化した。輸出額は同8,378億円(11.8%)減の6兆2,477億円と、4カ月連続の減少。輸入額は同1兆4,086億円(18.9%)減の6兆590億円と、12カ月連続で減少した。

サービス収支は1,713億円の赤字。旅行収支が1996年以降12月として最大となったことなどから、赤字幅は同1,870億円縮小した。

第1次所得収支は1兆122億円の黒字で、黒字幅は同548億円(5.1%)縮小した。第2次所得収支は689億円の赤字で、赤字幅は同318億円縮小した。

同省は国際収支状況について、「原油価格が大幅に下落し、輸入額が減少したことが一番大きい。また、第1次所得収支の黒字幅が拡大したことや、旅行収支が黒字転化したことなどでサービス収支の赤字幅が縮小したことも要因となっている」と分析している。