子どもをもつ女性が働きやすい環境とはまだまだ言えない日本社会。今回はマイナビニュース会員のうち男女300名に、女性が働き続けるうえで必要だと思う制度について考えてもらった。
Q.女性が働き続けるうえで、必要だと思う制度を教えて下さい。また、その制度が必要だと思う理由を教えて下さい
■産休・育休制度
・「産休: 出産が女性にとって大きなネックになる」(42歳女性/マスコミ・広告/営業職)
・「産休制度の充実: 子供が出来ると辞める所が暗黙の了解で多いから」(37歳女性/金属・鉄鋼・化学/事務系専門職)
・「産休: 結婚後も働き続ける人には必要になる制度だから」(23歳女性/通信/秘書・アシスタント職)
・「育休: 育児と仕事を両立するため」(31歳男性/小売店/販売職・サービス系)
・「育休制度: 子供を育てながら働く環境はマストだから」(24歳女性/医療・福祉/事務系専門職)
・「育児休業: ヨーロッパでは当たり前だから」(33歳男性/運輸・倉庫/販売職・サービス系)
■育休の延長
・「もっと長い育休: 短すぎる」(27歳女性/機械・精密機器/事務系専門職)
・「育休3年制度: 子供が3歳くらいになるまでは、母親がそばにいた方がいいから」(28歳女性/団体・公益法人・官公庁/事務系専門職)
・「育児休業: 保育所に入れなかった場合、延長して育児休業を取れるようにしてほしい」(26歳女性/食品・飲料/技術職)
■思い切った改革案
・「夫婦の場合、育児休業を男女同期間とることを義務付ける: 男性が育児休暇を取らない慣習を是正するには、思い切った規制が必要」(50歳以上男性/電機/技術職)
・「育児休業の義務化、育児休業を取らせず辞めさせた企業は公表し、事業を5年停止: 大企業でしか浸透していない感じで、多くの中年の頭は男尊女卑で出来ているから」(32歳男性/食品・飲料/技術職)
・「産休,育休の完全な保証と休暇取得による不利益扱いの禁止(罰則を伴う強制が必要)同一労働同一賃金の徹底: 休暇を取らせない,休暇取得すると不利益扱いするという実態があまりに多いから……男女,正規・非正規間の給与格差がなくなることによって,各自が希望するスタイルではたらくことができるようになるから」(50歳以上男性/学校・教育関連/事務系専門職)
■職場復帰のために……
・「産休から戻ってきても働く場所があるような制度: 産休から戻りにくい会社が多いように感じるから」(33歳男性/小売店/事務系専門職)
・「復職しやすい環境づくりの義務: 復職できないと出産などためらうから」(26歳女性/情報・IT/事務系専門職)
・「妊娠や出産時のための休暇と復帰のためのプログラムや在宅ワークなど: 職場を離れてしまうと、復帰しても付いていけない可能性も出てくるので、定期的なプログラムや在宅ワークを行えば、復帰の手助けになると思うから」(31歳男性/小売店/販売職・サービス系)
■託児施設の完備
・「保育園の整備: 絶対的に数が不足しているから」(32歳男性/商社・卸/事務系専門職)
・「子供を預けられる制度: 子供の保育先がないと、身動きがとれない」(34歳女性/金属・鉄鋼・化学/事務系専門職)
・「子供を預ける制度: 子供が発熱とかだと預けられないし、子供を預けられない親も多いと思うから」(37歳男性/金属・鉄鋼・化学/技術職)
・「社内の保育所: 子供の送り迎えが不要なだけで、かなり楽だと思うから」(26歳女性/医薬品・化粧品/技術職)
・「子供が出来ても定時まで働けるような施設を増やす制度: 保育園などの送り迎えがあるから、その時間に帰らないといけない」(28歳女性/ソフトウェア/技術職)
■勤務時間に関する制度
・「柔軟に勤務時間を決めることができる制度: 子供の世話などで急な用事ができることが多いから」(33歳男性/医療・福祉/専門職)
・「妊婦フレックスタイム、育児有給休暇: 体調によって出社時間を変えて会社に出勤できるのであれば、妊娠を理由に辞める人は減りそう」(32歳女性/自動車関連/事務系専門職)
・「時短制度: 保育園のお迎えなど大変そうだから」(29歳女性/自動車関連/技術職)
・「時短勤務を気軽にできる制度: 子育てや学校行事、親の介護や家事があるから」(29歳女性/金融・証券/営業職)
■在宅勤務制度
・「在宅勤務がもっとしやすくなれば良いと思う: 結婚や子育てなどで仕事をやめざるを得ない人を減らすべき……社会にとっても会社にとっても損失になると思う」(30歳男性/学校・教育関連/専門職)
・「働く場所や時間の拘束をしない: 縛られてしまうと家庭か仕事かどちらかになってしまう」(39歳女性/運輸・倉庫/技術職)
・「在宅勤務: 家で働ければ子供の心配とかはいらないので」(35歳男性/通信/事務系専門職)
■定時退社の促進
・「定時に帰れる制度: 残業があると主婦をしにくいから」(25歳女性/食品・飲料/営業職)
・「定時退社が当たり前になる制度: 結婚しているしていないや、子供がいるいないに関わらずみんなが定時で退社するのが普通であれば、結婚生活や子育てで忙しいときでも、周りに気を使うことなく家のことと仕事のバランスをとってがんばれると思うから」(24歳女性/印刷・紙パルプ/事務系専門職)
・「サービス残業の匿名通報制度: サービス残業があると家庭がうまくいかなくなるので」(24歳男性/団体・公益法人・官公庁/事務系専門職)
■男女平等
・「男女平等に評価をすること: 同じ仕事をしていても、明らかに男性の方が優先的に出世していくから」(24歳女性/食品・飲料/専門職)
・「平等な仕事の機会を与える制度: 必ずしも機会が平等だと思わないから」(39歳男性/情報・IT/技術職)
・「男性と同様に昇給、昇進: 働く地位が確立されれば、他の女性の目標にもなるだろうから」(37歳男性/団体・公益法人・官公庁/技術職)
■その他
・「有給を増やす: 通院とか家族のこととか、もっと休みやすくした方がいい」(29歳女性/団体・公益法人・官公庁/事務系専門職)
・「生理休暇: 体調が悪いときに無理をして働く必要性がわからないから」(29歳男性/医療・福祉/専門職)
■総評
女性が働き続ける上で必要な制度、「産休」「育休」という回答がやはり圧倒的だった。女性だけに訪れる「妊娠」「出産」という事情を考慮に入れずに、仕事を続けるのは不可能という考えは、誰も異論の余地はないだろう。
現行でも「産休」とその前後の「育休」は労働基準法で認められているが、その問題点を指摘する回答も多かった。育児休業が短すぎて結局出産後辞めてしまう人が多いという声、さらに産休や育休への周囲の無理解もあるようで、打開策として「育児休業を男女同期間とることを義務付けるべき」「違反した会社には5年の事業停止処分を」など、かなり過激な意見も飛び出した。裏を返せば、これくらいしないと産休・育休制度が日本企業に定着しない、ということの表れなのだろう。
次の段階として、保育施設に空きがない状況なので復職が非常に困難なこと、復職後に女性がなかなか思うように仕事ができない現状も指摘されていた。この「復職の壁」を乗り越えるために、育児しながらでも働けるよう「フレックスタイム制度」「在宅勤務制度」「時短制度」などを導入すべき、という意見が寄せられた。育児と仕事の時間を柔軟にやりくりできるような就労システムの構築は、企業努力にかかっているかもしれない。
男性と同様に働くことができない女性たちが、自ら罪悪感を抱いたり気まずい思いをしないために、「男女ともに労働時間を短くするような制度」「どの人も定時退社が当たり前になる制度」が必要、という意見もあった。これが実現すれば、働く社員みなが幸せになれそうだ。
育児だけでなく、介護なども女性の負担が未だ大きい部分だ。仕事と家族のお世話はどれくらい両立できるのか、高齢化社会まっしぐらのこれからの日本にとって、ますます重要な課題となってくるだろう。
調査時期: 2015年11月20日~11月22日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 男性131名 女性169名 合計300名
調査方法: インターネットログイン式アンケート