三菱航空機は1月29日、次世代リージョナルジェット機MRJ(Mitsubishi RegionalJet)に関するWEB情報発信ツール「MRJ Newsletter」第9号にて、2月上旬に初号機の飛行試験を再開するとともに、ローンチカスタマーであるANA向けのMRJ量産初号機に対して領収検査を開始したことを発表した。
2015年11月11日に初フライトとなった飛行試験機初号機は、次のフィードバック改修作業を完了し、現在、機能試験を実施している。今後、走行試験を経て2月上旬に飛行試験を再開する予定となっている。
飛行試験機初号機に関して、2015年5月に静強度試験に基づく解析予測を実施した結果、一部の部位(胴体中央部の主翼結合部品・胴体フレームの一部品)に通常の荷重を上回る終極荷重をかけると強度が不足することが予測された。航空機の型式証明を取得するためには、飛行中に実際に機体にかかる最大荷重の1.5倍に耐える強度を持つように定められている。
そのため今回のフィードバック改修では、主翼と胴体の結合部に局部的に薄板が追加された。なおこの改修は、初期の飛行試験段階では問題視されることではなかったが、最終的に型式証明を取得するために改修を行ったとしている。
飛行試験機初号機と2号機に対して、アビオニクスや操縦系統、エンジン系統等のソフトウェアの改修を施し、同3号機は機能試験実施中、客室内装が施される4号機と5号機は最終艤装(ぎそう)作業中で、内装品の組み付け調整作業等を行っている。また、全飛行試験機には主要な構造組み立てや脚の取り付けが完了しており、試験用の計測装置等を組み込まれている。
ANAに対するMRJ量産初号機に関しては、1月13日に三菱重工飛島工場にて領収検査を実施。今回の検査対象は主翼骨格組み立てで、ANAの領収検査員が立ち会った。領収検査は製造工程の中で検査ポイントを設け、各胴体・主翼・尾翼等の構造組み立て状態や、各部位の結合状態・艤装状態等を顧客が立ち会って検査するというもの。最終的には機体完成後の地上検査や飛行検査を通じてMRJを受領することになる。ANAの領収検査員からは、「とてもキレイな機体で、ていねいに作られていることが分かりました」と検査合格を得た。
また1月18日には、アイルランドのダブリンにてMRJファイナンス・カンファレンスを開催。同地では例年同時期に大規模なファイナンス関係の国際会議が開かれており、同会議についても各国より集まっている金融機関、リース会社、機体評価会社、エアライン等の業界関係者約110人が参加した。会ではMRJの特性や最新開発状況の説明を行うとともに、パートナー会社2社による主要装備品説明のほか、MRJの価値査定プロセス、欧州におけるリージョナルジェット市場や一般的なリージョナル機の資産価値について説明を行ったという。
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