今日ではそばや寿司の他、ステーキや焼肉などでも展開されている。これは何かというと日本でよく見かける「立ち食いスタイル」のレストランである。低価格で気軽に楽しめるということで話題のスタイルではあるが、外国人の目にはどのように映っているのだろうか。そこで今回、日本在住の外国人20人に立ち食いスタイルのレストランをどう思うか、母国事情とあわせて聞いてみた。
いいと思う
・「立ち食いレストランはいいアイデアだと思う。ギリシャでは見たことがないが、パンやお菓子を売るショップがあるから、外でも気軽に食べられる」(ギリシャ/33歳/男性)
・「日本の立食いそばは早くて安くておいしい。特に駅で利用できるのがいい」(チェコ/58歳/男性)
・「ウクライナには安いお店があまりないので、学生等は自分で料理している。外食カルチャもない。日本には安いお店がたくさんあるからとても便利」(ウクライナ/25歳/男性)
・「便利で安いと思う。中国にもいっぱいある。バリエーションはやはり中国の方が多い」(中国/28歳/男性)
・「様々な人のニーズ・時間・予算に合わせたいい工夫だと思う。たまに楽しんでいる。エジプトでは仲間と一緒に長い時間利用するお店が大人気だから、立ち食いスタイルもあったら楽しみたい」(エジプト/27歳/男性)
・「私は好きだが、ポーランドにはない」(ポーランド/30歳/女性)
・「特にひとりで飲んでいる時は安いから楽しい。イギリスでパブに行く時、立ち飲みが普通だが食べるメニューがない。食べるの時は必ず座るか、忙しければ歩きながら食べる」(イギリス/31歳/女性)
・「とても助かっている。日本では誰もが忙しい毎日を送っていて、働いていると家でほぼゆっくり料理ができない。低価格で外食できるお店は、なくてはならないもの」(イラン/28歳/女性)
・「いいと思う。モンゴルにも昔、ビールのお店で立ち食いのお店があった」(モンゴル/39歳/女性)
ゆっくり食べたい
・「ゆっくり食べたいから立ち食いは好きじゃない。欧米では食事の時間にまったりするのが当たり前」(フランス/35歳/男性)
・「ベトナムでは立ちながら食べるのは食事を満喫していない感じ。やっぱり座って食べる方がいいと思う」(ベトナム/36歳/男性)
・「不思議に思う。1,2度だけ、食べに行ってみたいと思ったことがあるが、話をしながらゆっくり楽しんで食べたいので、座った方が楽だと思う。バーだったら、飲んだりおつまみを食べたりしながら、立って飲み食いするのもいい」(ブルガリア/33歳/女性)
・「シリアにはそのようなお店が残念ながらあまりない。みんな落ち着いてゆっくり食べながら、話したり飲んだりするのが好き」(シリア/35歳/男性)
・「低価格で楽しめるのがいいと思うが、立ち食いは長くいられないし、お年寄りや子ども連れだと利用しにくいのであまり利用したくない。台湾には立ち食いのお店はそんなにないが、屋台とか多いので立ち寄りやすい」(台湾/30歳/女性)
・「ひとりの時はすごくいいと思う。友達と一緒に食べに行きたい時は遠慮する。マレーシアには立ち食いスタイルのお店はない。なぜなら、みんなゆっくり食べたいので、立ち食いは疲れると思う」(マレーシア/31歳/女性)
母国では行儀が悪い
・「韓国では立ち食いは行儀が悪いと言われるので、そんなお店はない。日本での立ち食いには慣れたし、それもひとつの文化で楽しいと思う。価格もリーズナブル」(韓国/34歳/男性)
・「便利かつおいしいからいいと思う。香港では立ち食いは礼儀正しくないのでそんなお店はない」(香港/34歳/女性)
そのほか
・「女性的には行きにくいところ。フィリピンのストリートベンダーなら立ち食いスタイルがある。でも、フィリピンでは立ち食いは衛生的に問題がありそう」(フィリピン/35歳/女性)
・「立ち食いスタイルのお店に行ったことがない」(インドネシア/36歳/男性)
・「ロシアにはいいレストランがない。食生活は日本と比べて非常に貧しい。ほとんどの人が家で食べている。だから私は日本のレストランが好き。日本で立ち食いをしたことがあるが、立って食べるから変な感じがした。でも、おもしろくて楽しかった」(ロシア/31歳/女性)
総評
「便利」「安い」「楽しい」という好意的な声の他、「ゆっくり食べたい」「行儀が悪い」といった否定的な声もあるが、総じて言えることは、立ち食いスタイルは海外ではあまり一般的ではないということだろう。海外にもスタンディングバーはあるものの、基本的にドリンクだけでフードはなく、日本の立ち食いスタイルとは少し異なる。
例えばフランス料理だと、途中でおなかがいっぱいになっても、会話を楽しみながら最後のデザートまでゆっくり食事を楽しむというのが一般的なスタイルだ。その意味では日本の立ち食いスタイルとは根本的に異なる。とは言え、立ち食いスタイルが母国にない、または否定的な見方をされるとしても、「それもひとつの文化」として日本ならではのスタイルを楽しんでいる外国人も多いようだ。
※本文と写真は関係ありません