JR北海道は24日、北海道新幹線開業に合わせて運行開始するアクセス列車「はこだてライナー」の一般公開を函館駅で実施した。同列車は新函館北斗駅発着の新幹線全便に接続し、函館~新函館北斗間(17.9km)を最短15分で結ぶ。
「はこだてライナー」に使用される車両はJR北海道の733系1000番台。札幌圏で使用されている通勤電車733系をベースとし、新幹線との一体感や函館・北海道らしさをコンセプトに内外装の一部を変更した車両となる。ロングシートの3両編成で、乗車定員は439名。繁忙期には6両編成での運行も予定している。
外観はステンレス素材そのままの銀色を基調に、北海道新幹線H5系と同様のパープル、JR北海道のコーポレートカラーであるライトグリーンの帯を車体側面に施した。この日の一般公開では、先頭車両に函館山と五稜郭をデザインした「はこだてライナー」のヘッドマークが掲出され、車体側面にも同様のデザインのステッカーが貼られた。先頭部や側面の「快速」「快速はこだてライナー」のLED表示の桜色も目を引く。
座席は北海道の広大な草原風景をイメージしたグリーン系の配色(優先席は除く)で、全席ロングシート。アクセス列車の仕様が発表された当初、「通勤電車のようで旅情が感じられない」などの批判的な声もあったが、この日の一般公開では、「車内が広々としていて快適」といった好意的な反応が多かった。
ただし、「はこだてライナー」の運賃(片道360円)と新函館北斗駅の駐車料金(無料)を天秤にかけた場合、家族連れなど同行人数が多くなればなるほど「はこだてライナー」を使わず自家用車で新函館北斗駅まで行こうとする心理がはたらくものとみられ、地元住民がどこまで「はこだてライナー」を利用するかは未知数な部分もあるといえそうだ。
ドアは半自動ドアで、1両あたり片側3ドア。函館のレンガ倉庫などを連想させるレンガ色とし、車いす利用者や大きな手荷物を持つ利用者もスムーズに乗降りできるように、開口幅やドア付近の空間に余裕を持たせ、乗降口のステップは廃止した。半自動ドア車両の投入は道南圏では初めてとなる。
トイレは1編成に1カ所設置。車いすが個室内で転回できる広さになっているという。見学者を少々戸惑わせていたのが、自動で閉まるデッキドア。従来の普通列車のように開いたままホールドされると思い込んで通ると、思いのほかドアが早く閉じ、手や体が挟まってしまう。説明を行っていた職員によると、鉄道火災の事例などを教訓に、万が一の際に他の車両への延焼を防ぐことなどを目的に導入されたとのことだった。
客室照明はすべてLEDだが、型番をよく見ると、「AC100V」となっているものと「DC100V」となっているものがある。電気系統を分けることで、停電が発生したときでも一部の照明は残るようになっているのだという。
JR北海道が昨年12月に発表したダイヤによれば、「はこだてライナー」は上下32本のうち函館行7本・新函館北斗行6本の計13本を快速(途中停車駅は五稜郭駅のみ)として運転。通勤・通学など生活の足としての需要もあることから、残りの列車は五稜郭駅・桔梗駅・大中山駅・七飯駅の各駅に停車する普通列車として運転されるとのことだ。