日本経済新聞社とナウキャストは20日、総務省が毎月下旬に発表する消費者物価指数(CPI)を、公表の1カ月以上前に先読みする新指数「日経CPINow・S指数」(以下、S指数)の提供を開始した。経済統計データベースサービス「NowcaSTats」の会員向けサービスとなる。
物価上昇率の動きをいち早く把握
S指数は、「総務省CPIを予測したい」というニーズに対応するため、 総務省CPIと同様の指数算式(ラスパイレス算式)、銘柄選定基準を採用。総務省CPIがある月の指数を翌月後半に公表するのに対し、S指数は約1カ月半早く、当月の結果を当月中に公表する。
POSデータを始めとするビッグデータをベースに、総務省が実際に行っている調査品目の選定や品質調整、指数算出ロジックなどを加味して独自に算出する。調査対象の食料品や日用品は、総務省CPIでもフレの大きな品目で、「物価の基調」を示すとされる総務省CPIのコア指標の一部(「総合除く生鮮食品・エネルギー」)との連動性も高くなっているため、日銀が金融政策運営の目標とする物価上昇率の動きを「いち早くつかむことができる」という。
ナウキャストは「総務省のCPIは重要な指標であるにもかかわらず、公表されるスピードが遅いという難点がある。弊社はビッグデータを使って物価を計測する研究開発を行っており、この技術を活かして、投資判断や政策判断をタイムリーにしていけるのではないかと考えた」と話している。
2016年1月のS指数は、+2.20%(2015年12月は+2.55%)。年明け以降も食料品や日用品を中心に物価上昇が継続していることが示唆されるとしている。