田中貴金属工業は20日、2015年の年間での資産用金地金の販売量と買取量を発表した。
(※本文中の金価格は、すべて田中貴金属工業が公表している税抜き小売価格)
金地金、米利上げの影響で国内価格が下落基調・下期の販売量は増加傾向に
田中貴金属工業によると、金地金においては、2015年1年間における国内平均価格は4,564円/gで、2014年の年間平均価格4,340円/gを約220円上回った。
2015年の金の国内価格は、1月15日にスイス国立銀行が対ユーロ為替上限撤廃を発表すると金融市場混乱の警戒感から、安全資産である金に注目が集まり、1月23日には2015年の最高値となる4,985円/gをつけた。
2月以降は米国のドル高傾向や世界的な株高により、金価格は緩やかな下落基調で進んだが、7月に入ると金価格を下支えしていたギリシャ債務問題に対し、ユーロ圏首脳会議で支援が合意されると、2010年3月以来5年ぶりに国際価格が1トロイオンス1100ドルを割り込み、国内価格も4,384円/gまで値を下げた。
10月に入ると中東情勢の緊迫化によるリスク回避が影響し、金価格は一時4,567円/gまで回復したが、米連邦準備理事会(FRB)が年内に利上げを発表することを示唆したことで金価格は再び下落傾向になり、12月15日には2015年の最安値となる4,184円/gとなった。
金地金の販売量について、2015年上期(1月~6月)は前年同時期(2014年1月~6月)と比べ34.5%減少、2015年下期(7月~12月)は前年同時期(2014年7月~12月)と比べ130.8%増加となった。通年では2014年と比べ21.2%増加。
買取量については、2015年上期(1月~6月)は前年同時期(2014年1月~6月)と比べ4.5%の増加、2015年下期(7月~12月)は前年同時期(2014年7月~12月)と比べ47.7%減少となり、通年では2014年と比べ23.4%減少となった。
2015年の販売量は、7月以降、金価格が下落傾向にあったことによる値ごろ感から販売量が増加し、2年ぶりに30,000kgを超えた。一方、年平均価格が高騰しているにもかかわらず買取量は、昨年と比べると減少していることから、「金を長期的に保有する傾向が高まっていることがうかがえる」(田中貴金属工業)。
田中貴金属工業では、「今後は、米国の追加利上げの回数や中東情勢の動向、中国経済の状況に市場の注目が集まることが予想される」としている。