1月12日から15日まで東京ビッグサイトで行われていたウェアラブルEXPOでは、配線材料にも新顔が登場。電力供給や通信を実現しつつ、人間の体や服に違和感なく身に付けられるウェアラブルデバイスに向けた素材を集めてみた。
服に電子デバイスを取り付ける場合、デバイスに電力を供給する必要がある。ボタン電池や小型の充電池を使うというのが一般的だろう。非接触給電という手法もあるが、今回のウェアラブルEXPOでは、(そろそろ出ると思っていた)ウェラブルデバイスに向く電磁界共鳴を使用した極小電力供給の展示が見当たらなかった。一方で、金属細線を使うことである程度の電力供給にも耐え、伸縮性と耐久性を併せ持った製品がいくつか見られた。
動きに合わせて「伸び縮みする金属線」が各社から
旭化成繊維では、ロボ電(ROBODEN)と称する電線を展示。収縮性を持つ中央コアに電線を巻きつける構造によって、電線でありながら40%程度の伸びに耐えられる。要求に応じて、電線の数や太さの変更も可能という。
また、数十万回の伸びや曲げ、ねじりにも耐える。ウェアラブル機器の配線用途以外にも産業用での応用を考えており、動きの多い産業用ロボットの配線に使うと、ケーブルメンテナンスの回数を大きく減らせるそうだ。会場では、台の上にWebカメラを置いて、これを何度も移動。通常のケーブルではたるみが生じるが、ロボ電は伸びることでぴったりと沿った状態を維持していた。
カジナイロンは、収縮性のある導電性ニットを展示。応用例として、ヘッドホンケーブルに使用していた。
グンゼは導電性ニットを展示。従来は伸びに伴って抵抗値が変化していたが、抵抗値の変化が少ない抵抗一体型の線材と動線を編み込んだもの。後者は200%程度の伸びに耐えるという。グンゼ製品のこだわりは、肌触りの良さ。銅線を編み込んでも、感触が悪くならない点に力を入れたという。