国立感染症研究所は1月19日、1月4~10日の期間中の感染症発生動向調査を公開した。同調査の結果より、一度は縮小の気配を見せたノロウイルス由来とみられる「感染性胃腸炎」の感染に対し、まだまだ警戒が必要なことがわかった。
厚生労働省によると、ノロウイルスによる感染性胃腸炎や食中毒は、一年を通して発生しているが、特に冬季に流行。「ノロウイルスは手指や食品などを介して経口で感染し、ヒトの腸管で増殖し、おう吐、下痢、腹痛などを起こします」としている。
国立感染症研究所は、全国約3,000カ所の定点医療機関から1月4~10日(2016年第1週)の期間中に報告があった患者数を集計。その数は2万4,300人にのぼったという。
2015年の第50週から週間当たりの患者数は3万人を超え、第52週まで3万人台を維持していた。第53週(12月28日~1月3日)の患者は1万3,852人で、その前週の3万1,861人よりも半減以下に落ち込み、感染縮小の兆しをみせた。ところが、1月4~10日の期間に第53週の倍近い2万4,300人を記録。まだまだ感染に注意する必要があることが示された。
また、第1週の時期における1医療機関ごとの患者数も、例年に比べて高水準だ。2016年の第1週時の定点当たり報告数は、7.74人。2011年から2015年間までの過去5年間と比較すると、2011年の7.98人に次ぐ2番目に高い数値で、2015年(3.47人)の倍以上となっている。
2016年の第1週において、都道府県別での患者数が最も多かったのは東京都で2,142人。2位以下は神奈川県(1,869人)、埼玉県(1,560人)、愛知県(1,324人)、大阪府(1,237人)と続く。大都市圏や関東圏において、依然として患者が多い傾向がみてとれる。
厚労省は、ノロウイルスによる感染性胃腸炎を防ぐため、「食事の前やトイレの後などには、必ず手を洗いましょう」「子どもやお年寄りなど抵抗力の弱い方は、加熱が必要な食品は中心部までしっかり加熱して食べましょう」などの予防策をよびかけている。
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