トヨタ自動車は12日、米国・デトロイトで11日より開催されている「2016年北米国際自動車ショー(デトロイトモーターショー)」に、米Kymetaがもつ衛星通信技術を活用した、燃料電池自動車「ミライ」の実験車を参考出展したと発表した。

衛星通信機能搭載の実験車「ミライ」

同社は、車載通信機(データ・コミュニケーション・モジュール)の搭載率を今後高めていくなど、クルマの「つながる」化に向けて取り組みを進めており、将来的には、大容量でデータ転送速度に優れた衛星通信の活用も視野に入れている。衛星通信には、「車両へ大量のデータを配信できる」「カバーエリアが広く、グローバルに国や地域をまたいで同規格のもと『つながる』クルマを展開できる」「天災等の緊急時でも、より安定した通信が確保できる」などの大きなメリットがあるとのこと。

従来の衛星通信アンテナは、衛星を捕捉するためにパラボラアンテナのような曲面の形をとるものが通常。しかしKymetaは、液晶技術とソフトウェアを用いることで、こうした形状を要することなく電子的に衛星を補足できる独自技術を有しており、アンテナを平面化・小型化し、車載に適したものにすることを可能としている。

トヨタは2013年9月より、Kymetaと大量のデータを車両に衛星配信することを想定した車載用平面アンテナの共同研究を開始。現在は自動車向けアンテナの開発・試験における独占権を得て、Kymetaに試験車を貸与して走行評価を実施している。今回参考出展した試作アンテナ搭載の「ミライ」は、こうした衛星通信機能の車載に向けた取り組みの進捗を示すもの。