乳児が「RSウイルス感染症」になると、重症化にいたる恐れがある

国立感染症研究所は1月12日、2015年12月21~27日の期間中の感染症発生動向調査を公開した。同調査の結果から、同期間中における1週間当たりの「RSウイルス感染症」の患者が全国で6,000人近くになることが判明。過去10年間の同時期と比較しても、高い水準で患者が増え続けていることが明らかになった。

RSウイルス感染症は、RSウイルスによって引き起こされる呼吸器の感染症。風邪のように発熱や鼻水などの症状が出るが、重度の場合だと肺炎や気管支炎になるケースもある。通常、RSウイルスに感染してからの潜伏期間は2~8日で、典型的な潜伏期間は4~6日とされている。

同研究所によると、生後1歳までに半数以上の子どもがウイルスに感染し、同2歳までにはほぼ100%の子どもがRSウイルスに初感染するとのこと。厄介なことに、生後数週間~数カ月間程度の乳児が初めて感染した場合は、重篤な症状が出る可能性が高まるとされている。

全国約3,000カ所の定点医療機関から12月21~27日(第52週)の期間中に報告があった全国の患者数は5,756人。第50週の7,469人をピークに2週続けて減っており、感染縮小の兆しはみえてきている。

ただ、2005年シーズンからの第52週時期における患者数と比較すると、5,756人は2番目に高い数字となる。2014年シーズンこそ第52週に6,110人を記録していたが、2009年からは5年連続で3,000人台で推移。この数字からも、今シーズンはRSウイルスが長期間にわたって猛威を振るっていることがわかる。

12月21~27日の期間中において、都道府県別での患者数が最も多かったのは大阪府の562人。2位以下は兵庫県(479人)、愛知県(345人)、東京都(277人)、北海道252人)と続く。

RSウイルス感染症には特効薬やワクチンがないため、予防が肝要となる。感染経路は飛沫(ひまつ)感染と接触感染で、発症の中心は0歳児と1歳児。一方、再感染以降ではくしゃみ・鼻水といったような症状が出ていても、RSウイルス感染症であるとは気づかない年長児や成人もいる。

そのため、厚生労働省は「咳等の呼吸器症状を認める年長児や成人は、可能な限り0歳児と1歳児との接触を避けることが乳幼児の発症予防につながります」としている。

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