財務省は12日、2015年11月の国際収支状況(速報)を発表した。それによると、海外とのモノやサービスの取引状況などを示す経常収支は1兆1,435億円の黒字となった。黒字は17カ月連続で、黒字幅は前年同月比7,033億円拡大した。同省は「第1次所得収支が引き続き高水準であることや、原油価格の下落により輸入額が減少したことが主な要因」と分析している。
貿易収支は3カ月ぶり赤字
貿易・サービス収支は2,099億円の赤字。赤字は2カ月連続で、赤字幅は同5,191億円縮小した。貿易収支が赤字幅を縮小したほか、サービス収支が黒字転化したため、貿易・サービス収支の赤字幅は縮小した。
貿易収支は2,715億円の赤字。赤字は3カ月ぶりで、赤字幅は同3,598億円縮小した。原油の輸入額が減少したことなどから、赤字幅は縮小した。
輸出額は同4,012億円(6.3%)減の5兆9,233億円で、3カ月連続の減少。輸入額は同7,610億円(10.9%)減の6兆1,947億円で、11カ月連続で減少した。
また、同省関税局がまとめた2015年11月分貿易統計(通関ベース)によると、輸出額は同2,063億円(3.3%)減の5兆9,812億円となった。商品別では、鉄鋼が同582億円(18.4%)減、有機化合物が同444億円(22.4%)減など。主要地域別では、対アジアNIEsが同1,650億円(11.8%)減などとなった。
輸入額は同7,238億円(10.2%)減の6兆3,625億円。商品別では、原粗油が同3,992億円(40.9%)減、液化天然ガスが同2,696億円(41.5%)減など。主要地域別では、対中東が同4,673億円(41.3%)減などとなった。
サービス収支は615億円の黒字で、3カ月ぶりに黒字転化した。「知的財産権等使用料」が1996年以降11月として最大、単月としても過去2番目の黒字となったほか、旅行収支が1996年以降11月として最大の黒字となったことなどから、黒字幅は拡大した。
第1次所得収支は1兆5,423億円の黒字。黒字幅は同2,697億円(21.2%)拡大した。「直接投資収益」および「証券投資収益」が増加したことなどから、黒字幅が拡大し、1985年以降11月として最大の黒字となった。
第2次所得収支は1,889億円の赤字。赤字幅は同855億円拡大した。