いよいよ利用が始まったマイナンバー制度。同制度は、住民票コードを変換して得られる12桁の個人番号をもとに、情報を一元化し管理するというもの。2015年末に番号通知書類が送付され、2016年1月1日より「社会保障」「税金」「災害対策」の分野で利用が始まった。
本格運用がスタートしたとはいえ、番号通知書類の誤送付や遅延などの問題が相次いだこともあり、不安の声が上がっているのが現状だ。また、「副業が会社にばれるのか」「預貯金口座との紐付けはどうなるのか」といった疑問を持つ人も多いだろう。
このレポートでは、内閣府 大臣官房番号制度担当室と国税庁に聞いた「マイナンバー制度の運用が日常生活に与える影響」についてQ&A方式で紹介する。まずは制度運用について最も気になる「お金」についての質問から見てみよう。
「銀行口座」に関する疑問
Q1. マイナンバー制度が始まると、預貯金や資産が行政の職員などに見られてしまうのですか?
A1.制度開始以前にも生活保護や税務調査などにより、行政の職員が預貯金や資産を確認することはありました。
従来は「住所」「氏名」「年齢」「性別」の4情報を元に確認していた情報を、マイナンバーで確認できるようになります。以前には「引っ越しの住所変更で個人の確認ができない」といった事態がありましたが、マイナンバーで管理することにより、そのような問題が解消されると考えられます(内閣府 大臣官房番号制度担当室)。
Q2. 預金口座への紐付け(付番)は義務ですか?
A2.2018年より、金融分野でのマイナンバー利用として預貯金口座への付番が予定されています。現時点では、付番は「義務」ではなくあくまでも「任意」ですが、状況を踏まえ義務化される可能性もあります。マイナンバーは、税務調査や生活保護などの資産調査などに利用される予定です(内閣府 大臣官房番号制度担当室)。
Q3. 預金口座の付番にはどのようなメリットがあるのですか?
A3.激甚災害に見舞われて、通帳やキャッシュカードが手元になくなってしまった場合や金融機関が破たんした場合、預貯金口座にマイナンバーが紐づけられていれば、円滑に預貯金を払い戻すことが可能になります(内閣府 大臣官房番号制度担当室)。
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上記の回答の通り、金融分野でのマイナンバー利用は2018年を目処に実施予定だ。内閣官房 内閣審議官・内閣官房番号制度担当室長 向井治紀氏によると、預貯金に付番されたからといって、国のシステムと銀行システムがつながるということはないという。
一方、マイナンバーとすべての預貯金口座が紐付けされた場合、「隠し口座」は存在できなくなる。紐付けでは「口座の中にいくら入っているか(預貯金額)」はわからないが、隠し口座から脱税や生活保護の不正受給などが発覚しやすくなることは十分に考えられる。