イオン銀行はこのたび、2月15日より店頭手続きやATM利用の際に、来店した人が顧客本人であることを「指紋生体情報」のみで認証する邦銀初という「指紋認証システム」による銀行取引の実証実験を開始すると発表した。

「手ぶら」で来店し窓口やATMに設置された専用端末に指でタッチするだけ

これまでも、ATM取引時に指や手のひらの静脈などの生体情報を本人認証のために利用する事例はあったが、その利用に際しては生体情報のほかにICキャッシュカードの挿入や暗証番号の入力などが必要であり、生体情報はセキュリティの補完手段という位置付けだった。

このたび、イオン銀行が実証実験を行う「指紋認証システム」は、指紋を登録すれば、キャッシュカードや暗証番号・印鑑・本人確認書類などを一切持参することなく「手ぶら」で来店し、店頭窓口やATMに設置された専用端末に指でタッチするだけで銀行取引を行うことができるもの。指紋は「終生不変」「万人不同」とされ、誰でも簡単に登録できる複製不可能なものであり、なりすましの防止など銀行取引上の安全面でも優れたものとなるという。加えて、災害時の緊急避難の際にキャッシュカードを持ち出すことができない場合でも銀行取引が可能であり、社会的な意義も高いものとなるとしている。

イオン銀行によると「このたびの実証実験は東京都千代田区の同行の神田店で一定期間実施した後、その結果を検証したうえで実施範囲を拡大し、対応店舗・ATMを拡大するとともに、ネットバンキングなど他のチャネルで活用することも展望しています。さらに、この指紋認証システムは、普及し一般化すれば、クレジットカードや電子マネーによる買い物の際のカード提示が不要となるだけでなく、カードの発行そのものを不要とできる可能性があるなど、顧客の利便性の向上や銀行のコスト削減に資する将来性のあるもの」としている。

このシステムは、Liquid(リキッド)が開発した大規模高速化認証システムを使用する。また、この大規模高速化認証システムを導入した専用サーバーは、高度なセキュリティ施策を施し、厳重に管理されたイオン銀行のデータセンター内に設置するとともに、指紋の画像を暗号化により復元不可能な状態で保有することでセキュリティを確保するとしている。

指紋認証システムの概要(予定)

  • 利用できる人:イオン銀行に普通預金口座を持っている18歳以上の口座名義本人、指紋を認証機器に登録できる人

  • 利用可能な取引:店頭窓口で行う本人確認が必要な取引(氏名変更、住所変更など)、指紋認証機器が装備されたATMでの入金・出金・振込・残高照会

イオン銀行はこれからも、顧客の幅広い金融ニーズに応えるべく、安全・安心、便利でお得なサービスの充実に努めていくとしている。