日本ではたびたび話題となる「ブラック企業」。サービス残業、過労、ハラスメントなど多くの問題をはらんでいるが、海外には同じような問題があるのだろうか? 日本で働く外国人に話を聞いた。
Q.母国に「ブラック企業(法に基づく労働慣習を守らず、社員を酷使するような企業)」はありますか?
あまりブラック企業の問題はない
・「ないと思います」(エジプト/33歳/男性)
・「ありません。むしろ、正式な労働時間が守られていないぐらいですwww」(シリア/35歳/男性)
・「母国では、ブラック企業はあまりないです。聞いたことがないです」(フィリピン/35歳/女性)
・「あまりないと思います」(インドネシア/36歳/男性)
・「ブラック企業というのは特日本の問題だと思います。母国ではちゃんと契約を結ばないと給料はもらえないぐらいです」(ポーランド/30歳/女性)
・「ベトナムでは、残業が少ないです。パワーハラスメントなどの問題がまだ言及されていないです」(ベトナム/36歳/男性)
そもそも会社が……
・「母国では、残業に関して、特に問題を聞いた事がないですが、給料をちゃんと払っていない会社が多いです」(ギリシャ/33歳/男性)
・「母国の企業のほとんどが労働習慣を守りません。それで"ブラック"と呼ばれていません。"ブラック"と言う企業は、母国で、働いてもまったくお金を払っていない会社、突然消えてしまう銀行(あさ仕事に来て上司はだれもいなくて、お金をもって逃げた)などです」(ロシア/31歳/女性)
残業、過労など日本と同じような問題
・「週末の出勤させ仕事をさせたにも関わらず、手当ても無かった。結局、過労死した」(韓国/34歳/男性)
・「国のブラック企業でつとめたことがないからわからないが、知人での事例を挙げるとサービス残業が多くて、給料が安い」(香港/34歳/女性)
・「台湾もいっぱいあります。マタニティ・ハラスメントは結構聞いたあります。あと新卒の給料問題です。大卒初任給が22,000台湾ドル(約66,000円)以下です。台湾の人々は大卒初任給の低すぎる現象を注意されるようです。そのせいでが青年を貧乏にすると思われてます」(台湾/30歳/女性)
母国のこんな業種に問題が
・「あります。セールス系会社とコールセンターの会社が嫌な会社です。セールできないと給料が少ないし、首になる可能性があります。プレッシャーが高い職業環境です」(イギリス/31歳/女性)
・「建築現場で働いている外国人労働者です。長い時間働いても給料は少ない」(マレーシア/31歳/女性)
・「もちろんあります。まずは社員のお給料が何ヶ月も遅れる企業があります。つまりあまり利益がないとき社員が先に苦しみます。あと登録されていないアフガン難民者を安い作業労働者として違法に雇う企業があります(特に建設業現場でよく見えます)」(イラン/28歳/女性)
・「特に中国系の工場現場は給料支払い遅れや泊まり込みの長時間残業など聞いたことがあります。ずいぶん前ですが、そんな工場で社員が関電して死亡した事故もありましたね。経済状況悪化の為、給料支払い金額を満たさない、あるいは支払日を遅れることはよくあると思います」(モンゴル/39歳/女性)
・「母国で労働面ではホテルやリゾート業界があまり評価が良くない印象です」(ブルガリア/33歳/女性)
まとめ
「ブラック企業はない」という回答が多く、「そもそも労働者が労働時間を守らない」という日本では驚きの事情も寄せられた。それはそれで、企業が大変なような気もするが……。ギリシャやロシアなど「そもそも企業がお金を払わないからブラック企業はない」といった回答も、なかなかすごい。
日本と似たような問題を抱えるのは韓国、香港、台湾と近くの国が多い。また具体的に業種によって変わってくると教えてくれた国の方々もいた。また今回答えてくれた方々の中では、女性の方がブラック企業の問題に対して詳細に回答を寄せてくれることが多く、関心も高いのかもしれないと思わせられた。