海外旅行をすると、高い値段をふっかけくる販売員に対して、もっと安い値段で買えないか交渉する"値切り交渉"は多くの方もやった経験があるだろう。だが、海外旅行では普通に値切り交渉をするのに、なぜか日本国内では値札通りの価格をおとなしく払う日本人がほとんどだ。日本人はなぜ値切らないのか? その感想を外国人に聞いてみた。
「従順すぎる」「内向的」
「従順すぎると思います。一方、母国では値切るのが好きな人が多いと思います」(ウクライナ/25歳/男性)
「日本人の性格は欧米の人と比べて内向的だと思います。たとえば、電話をするより、メールでコミュニケーションする場合が多いです。そして、日本社会では『よろしく』というコンセプトが大事です。値切るという攻撃的な行動は日本人っぽくないのだと思います。母国では値切ることは一般ではありませんが、あることはあります」(ロシア/31歳/女性)
「恥ずかしいからしないと思う。フランスでは、『もうちょっと安くしてくれない?』と言うのは当たり前みたいな感じです。『自分の交渉力を試す』みたいな感覚です」(フランス/35歳/男性)
「日本にはあまり市場(いちば)がないので、スーパーやデパートで売っている商品は値段が決まっているから、値切るということはなかなかできないと思う。また、日本人は従順すぎることもあり、値切れないのではないでしょうか。母国では、市場(いちば)も多くて、値切ることは普通なことです」(マレーシア/31歳/女性)
「日本では割引商品が少なくて不便です。あまり売れないものや、賞味期限がきそうな商品など、イギリスでは一つ買えば、二つ貰えるというセールが多いです。お得です」(イギリス/31歳/女性)
「エジプトの場合は値札が付いていないため、言われた値段を半分以下に値切る必要があります」(エジプト/33歳/男性)
「それも文化」「透明性がある」「安心して買い物ができる」
「私も値切る事が面倒くさいと思っていますから、日本のほうが良いと思います。母国は店によってはやる人もいます」(ギリシャ/33歳/男性)
「それも文化。母国も最近は値切ることはあまりせず、何かおまけを付けてくれる」(韓国/34歳/男性)
「場所にもよるので値切らなくてよい」(チェコ/58歳/男性)
「面倒くさくなくていいです」(インドネシア/36歳/男性)
「メンツ重視、そもそもできない、常識だと思っているからではないでしょうか。中国でもデパートとかではできないのではないかと思う」(中国/28歳/男性)
「透明性があると思います。値切るのは良くないメカニズムだと思います。ベトナムではよく値切りますね」(ベトナム/36歳/男性)
「すっごく良いと思います。母国では買い物するときに常に交渉しないといけないので、かなりストレスフルです」(シリア/35歳/男性)
「値切りって、日本でできるの!? 確かにめんどくさいですよね。どこで値切っていいかわからないです。母国では、ストリートベンダーなら値切ってOKです。デパートではできないです」(フィリピン/35歳/女性)
「商売する人にとってはいいお客さんではないかと思う。母国では値切る人が多い」(香港/34歳/女性)
「日本では基本デパートや街のお店などで商品を販売してますので、定価で販売することが一般で値切ることが難しいです。台湾のお店でも定価で販売するところが多いですので、値切るがことはあまりしないのですが、屋台とかフリマとかなら大丈夫です」(台湾/30歳/女性)
「イランではデパート以外なら、なんでもかんでも交渉して買います。日本はあまりそういう文化がないか、もしかしたら昔はあったけれど、今はなくなっているという印象があります。やはり小さいお店よりもデパートなどの大きいショッピングセンターができて、売っている人が商品に直接関わりがなくなっているからだと思います」(イラン/28歳/女性)
「日本では常に安定した金額で買い物ができます。時にはバーゲンセール、朝市、夜間割り引きなどサービス精神が豊富なので、値切ることはしなくてもいいです。自国ではそんなサービスはごく一部でしか行わない上、石油価格の上下状況により値段が不安定になることが、より安く買いたいという気持ちを生むのかも知れません」(モンゴル/39歳/女性)
「値切りなしで商品を購入できることは、とても安心して買い物ができます。母国では場所によって値切りが必要です」(ブルガリア/33歳/女性)
総評
「値切る」という行動を日本人があまりしないことについて、「従順だから」「内向的だから」と批判的にみる外国人の方もいたが、多くの外国人の方々は「透明性がある」「安心して買い物ができる」「日本の文化」といった肯定的な評価をしていることが分かった。
最近は外国人観光客が数多く来日し、「爆買い」などの現象も生まれているが、多くの外国人の方々は、日本での買い物を安心して楽しんでいるのではないかと想像ができる。その背景として、「値切り交渉をしなくてもセールなどで安くしてくれる」といった買い物に対するストレスのなさがあるのかもしれない。
(※本文と写真は関係ありません)