シャープが12月3日に発売したサイドバーシアターシステム「HT-SP100」は、AQUOS向けの2.1chシアターシステムだ。現在主流のバースピーカータイプとは異なり、フロントスピーカーをテレビの左右に取り付けるスタイルとなっている。既発売の製品だが、先日プレス向けの説明会が行われたので、ポイントを絞って紹介したい。
HT-SP100のフロントスピーカーは、液晶テレビ背面の壁掛け金具用の穴に取り付ける。そのため、AQUOSのみに対応しているというわけではなく、多くのテレビで利用可能であるという(40V型~70V型)。また、取り付け穴はテレビのほぼ中央にあるため、画面と音の方向が一致するというメリットもある。
そのほかの特徴としては、テレビのスピーカーを同時に使用して3.1chシステムを構築できることが一つ、そしてもうひとつ、アイレックスの技術協力によりハイレゾサウンドに対応したことがある。
テレビをセンタースピーカーとする3.1chシステム
HT-SP100は2.1chのシステムだが、テレビのスピーカーを使用することで、3.1chシステムとして利用できる。薄型テレビのスピーカーは力不足と考えられがちだが、人の声の帯域をクリアに再生するように作られているため、センタースピーカーとしての利用価値はある。
この3.1chシステムの面白いところは、センタースピーカーの音量だけ独立してアップダウンできるという点だ。この機能を利用できるのは、センターチャンネルがある5.1chのタイトルに限られるが、映画などで背景音が大きくてセリフが聞き取りにくい場合や、音楽タイトルでボーカルのボリュームが小さいときなどに有効だ。
HT-SP100と3.1chのシステムを構築できるテレビは、2009年以降のAQUOSだ(ARCに対応したAQUOS)。センターチャンネルのみの音量調整はHT-SP100のリモコンから行う。
アイレックスの技術協力により実現したハイレゾサウンド
HT-SP100は、96kHz/24bitまでのハイレゾ音源再生に対応している。また、非ハイレゾ音源を96kHz/24bit相当に補完することも可能だ。この高音質再生には、アイレックス社の技術が採用されている。
アイレックス社は、米カリフォルニア州に本拠を置くオーディオ・ビデオ技術の研究開発企業。HT-SP100に採用されている同社のおもな技術は、音響パワー体積密度イコライジング技術の「Eilex PRISM」、ハイレゾ音源関連の「Eilex Harmony」「Eilex HD Remaster」だ。
アンプとスピーカーを含めた音質補正を行うのが、Eilex PRISM。アイレックス社の代表取締役である朝日氏によると、従来の補正技術では、スピーカー前方1点での測定結果を基準にしていたが、それでは、その位置にリスナーの耳がないと望んだ結果が出ないという。スピーカーからの音は球面状に広がっていく。その広がっていくエネルギーそのものを測定して補正するという考えから生まれたのが、Eilex PRISM。音のエネルギーの伝播特性をフラットにすることで、原音に近いサウンドを実現するとのことだ。
Eilex Harmonyは、圧縮音源で失われた音声情報を復元させる技術。アップコンバート後の超音波帯域に、Eilex HD Remasterによって正しい倍音成分を生成する点が特徴であるという。