セキュリティ機能のSmart Protect機能は、「ゼロデイマルウェア」をSoCレベルで補足、駆除しようという試みだ。この場合、ゼロデイマルウェアとは一般的なウイルス対策ソフトのウイルス定義ファイルに規定されていないため、セキュリティチェックを素通りしてしまうような未知のマルウェアを想定しているようだ。
アプリの動作を検知してマルウェアかどうかを判別するヒューリスティック(振る舞い)分析によるチェックを行うようで、既存の対策ソフトがOS上で動作するソフトウェアベースに対して、ハードウェアベースでマルウェアをブロックする点が特徴となる。
マルウェアの実行をブロックしている様子。Snapdragon 820のプロセッシング技術によってマルウェアの振る舞いを検知している、と説明員 |
フロントエンドとなるアプリも用意されているが、マルウェアの検知はハードウェアベースで行っている |
基本的には「未知のマルウェア」の検出を目的としており、既存のウイルス対策ソフトとの併用を想定しているようだ。説明員は既存の対策製品に比べて「スマート」と優位点をアピールしている。
続いてのデモは「Sense ID」。指紋センサではあるが、既存の指紋センサがキャパシタ方式なのに対し、超音波によって指紋を検出する。超音波によって指紋を3Dで検出できるほか、ガラス、アルミ、プラスチックといったさまざまな素材でも指紋検出ができるため、従来のように電源ボタンと指紋センサを一体化しなくても、デバイスのどの位置にも指紋センサを設置できる。
さらに、指が濡れているなどのコンディションの違いも吸収して検出できるため、ユーザーの利便性も向上するとしている。そのほか、FIDO規格にも準拠しており、オンラインサービスの認証にも利用できるようになる。
最後のデモはカメラによる「シーン検出」機能。Zerothによる機械学習の成果と1つとされており、カメラに写ったシーンを自動で認識し、それをタグとして設定することで、撮影後に自動分類することができるようになる。
撮影時のシーン検出も1つの機能だが、画像管理にも活用できる。シーンを自動分類することで、例えば「青空の写真」「食事の写真」といった具合に写真をピックアップできる。すべてローカルで処理するため、ネット接続が必要ない点も特徴で、ローカルで分類のミスなどを修正すると、それも学習するという。
今回のデモは、Snapdragon 820が単にSoCとしてパフォーマンスを向上させた、といったレベルではなく、さまざまな機能を統合して新たなソリューションを包括して提供していく点がアピールされていた。