シェアリングエコノミー事業を推進する団体「シェアリングエコノミー協会」が2016年1月に発足する。ガイアックスらが14日、加盟企業の募集を開始したと発表した。設立団体を通じて、認知度拡大など業界の共通課題の解消に向かうが、スタート時はわずか6社のスモールスタートとなり、存在感を示すには関連企業をどう取り込めるかが、鍵となりそうだ。
シェアリングエコノミーとは
シェアリングエコノミーは、インターネット上のプラットフォームを介して、"個人間"での貸借や売買、交換によりシェアしていく新しい経済のこと。個人間でシェアするのは、モノだけではなく、場所、乗り物、人なども該当する。
具体的なサービスとしては、いらなくなったモノの売買をスマホを使って手軽に行う「メルカリ」、家事、旅行中のペットの世話など、誰かに手伝って欲しいこと、自分が得意なことを提供しあう「ANYTIMES」、空き駐車場を融通する「akippa」などがある。プラットフォーム運営会社は、サービス成立に伴う手数料でビジネスを成立させているところが多く、利用者の拡大が収益増大につながる仕組みだ。
こうした事業は今、"シェアリングエコノミー"という言葉でくくられ、足元、拡大局面にある。矢野経済研究所の調査結果によると、2014年度の市場規模(サービス提供事業者の売上ベース)は、前年度比134.7%増の約232億と推計。2015年度見込みで290億円、2018年度には2014年度比で倍増の462億円に拡大すると見込まれている。
業界が抱える問題
成長傾向にある市場だが、足元では、"認知度の拡大"をはじめとして、"信頼性の確保""法制面の整備"といった課題が残されている。こうした業界共通の課題を解消しようというのがシェアリングエコノミー協会の役割だ。
"認知度の拡大"では、シェアリングエコノミーという言葉がまだ新しく、一般に浸透していない状況だ。"信頼性の確保"については、やりとりが個人間となり、事故やトラブル時の対応をどう整備するかが重要になってくる。また、ライドシェアの「Uber」、民泊の「Airbnb」をはじめとして、現行法が追いついておらず、法整備が待たれている。
こうした環境のもとで、同協会では、「プラットフォームの事業者の健全なるビジネス環境と利用者保護体制の整備」「新しい経済行為を活性化させ、日本経済全体の発展に寄与すること」などを理念に挙げ、健全なビジネス環境の整備を進めていきたい考えだ。
事業者の取り込みが重要に
業界の発展を目指すシェアリングエコノミー協会が存在感を示すには、今後、いかに関連事業者を取り込めるかが重要となりそうだ。
協会設立時の参加企業は、ガイアックス、スペースマーケット、クラウドワークス、ココナラ、AsMama、エニタイムズのわずか6社。そもそも、11月に行われたイベント「Share! Share! Share!」に参加した企業を中心とした構成となっており、グローバルに事業を展開するUberやAirbnbは名を連ねていない。
参加社は、2016年内には100社から200社を目指すとするが、存在感を示すにはUberやAirbnbの取り込みも望まれるところだ。また、加盟基準について「審査はあるものの、基本的には来るものは拒まず。シェアリングビジネスの文化をつくり上げようとするところは歓迎したい」とするものの、いわゆる"グレーゾーン"で事業を展開する企業の参加の可否について、どう考えていくかも求められそうだ。加盟募集は始まったばかりだが、今後、どのような企業が名を連ねていくのか、どう舵取りをしていくのかが注目される。