年1回のペースで同社フラッグシップにあたる「Galaxy S」シリーズの最新機種を発表しているSamsungだが、来年2016年には次世代機となる「Galaxy S7」が投入される見込みだ。現行モデルから大きな変更はないものの、ライバルのiPhone 6sに搭載された「感圧ディスプレイ」や新しい高速チャージポートを採用し、曲面ディスプレイの派生モデル「Edge」シリーズも合わせて来年2月のMobile World Congress(MWC)で発表されるとみられる。
同件は関係者の話としてWall Street Journalが報じている。前述のように現行のS6シリーズと比較してマイナーチェンジの印象が強いとみられるが、目玉機能の1つとしてはAppleがiPhone 6sで採用した感圧式ディスプレイ(Pressure Sensitive Display)が挙げられる。Android標準の機能ではないため、基本的にはSamsung製アプリでの利用が中心になるとみられるが、発表の際にはこのあたりのユーザーインタフェースの変化がアピールされることになるかもしれない。
また、ハイエンドモデルを中心に高速チャージポートを搭載するようだ。概要は不明だが、Galaxy S7シリーズでQualcomm製プロセッサが採用されなかった場合、USB 3.x Type-Cの採用でUSB PD(Power Delivery)機構がサポートされる可能性がある。
そのほか、「Retina(網膜)」センサーも搭載されるという。最近のGalaxyシリーズでは指紋センサーを装備し、これを利用した「Samsung Pay」の仕組みが提供されていたりする。網膜センサーの用途は不明だが、おそらくは指紋センサーの補助機能としてバイオメトリクス認証に利用されるのだと考えられる。
なお、発表は2月末にスペインのバルセロナで開催されるMWCのUnpackedイベントで行われるとみられ、発売時期は米国では3月中旬を見込んでいるという。発表まで3カ月弱と迫っていることになるが、WSJが関係者の声として伝えるところによれば、まだ仕様変更が行われる可能性があるという。
スマートフォン事業でのかつての勢いが収まりつつあるSamsungだが、ある意味で社運をかけた現行のGalaxy S6は期待に反して低調に終わったといわれている。さらにローエンドの分野では中国メーカーや新興系メーカーの激しい競争に晒されており、現在同社のスマートフォン事業を支えているのはミッドレンジ帯だともいわれている。12月に入り、これまで同社のスマートフォン事業を率いてきたJ.K.Shin氏から、KNOXやSamsung Pay事業を推進してきたD.J.Koh氏に事業トップのバトンが移ったばかりだが、Koh氏が成すべき最初の課題はGalaxyフラッグシップ製品の立て直しとなる。その結果は、そう遠からず明らかになるだろう。