工学院大学はこのほど、情報学部情報デザイン学科・蒲池 みゆき教授の研究グループが、ポーラ化成工業と共同して行った「見た目の若さの印象」についての研究結果を明らかにした。

顔の向きが見た目の年齢に与える影響

同研究は、人が実生活において相手の見た目の年齢判断を行う場合、何を判断指標としているのかを明らかにするために実施した。

これまでの人の見た目の年齢印象実験には、正面からの真顔や写真画像などの静止画が用いられていた。しかし、実際のコミュニケーションでは、顔の正面や真顔だけではなく、相手の顔をさまざまな角度から見て行っている。

また、動作なども手掛かりに相手の感情を瞬時に理解し、年齢の印象に関わる情報を得ていることも考えられる。そこで今回は、実生活を反映したさまざまな条件で調査を行い、人の見た目の年齢を決める真の要因を解明する調査を行った。

研究では、被験者の「正面顔」のほか「下向き」「横」「斜め」など6方向からの顔の画像を見せ、その印象を観察者に尋ねた。「正面顔」を基準として各方向の顔の印象が若く見えるか、老けて見えるか聞いたところ、被験者を「下から見た」「下斜めから見た」「真横から見た」「斜め上から見下ろして見た」顔は、特に若く見えることがわかった。

また、同じ被験者の画像を動画と静止画で見せたところ、40代を境に動画の方が老けて見られることが明らかとなった。これは、表情を作る際に皮膚が動くことが要因であると考えられる。

顔の皮膚の動きが見た目の年齢に与える影響

続いて、見た目の年齢を判断する際、観察者は顔のどこに注視しているか視線解析した。一番集中して見られた部分は「目」であったが、次いで多く視線が集まったのは「ほお」の部分であった。

見た目の年齢判断時の視線解析結果

このことから「人の見た目の年齢が顔の向きや顔の皮膚の動きによって変わること」「見た目の年齢を決める際に、特にほおが重要な部位であること」が明らかとなった。

なお、同研究成果は第77回日本化粧品技術者会(SCCJ)研究討論会で、共同研究を行ったポーラ化成工業と発表し「最優秀発表賞」を受賞している。